今年は蛇の少ない年でした。多くてうれしいものでもありませんが、句材にはなります、、、。(2019年秋詠)
木犀や売物件の家一戸
ふと気づくと我が家の金木犀の枝に花が数個、まだ匂うとまではいかない数です、、、。(2019年秋詠)
兵の如並ぶ月夜の藁ぼつち
何か用途があっての事でしょう田圃一面に収穫の終わった稲束が立てて残してありました。月光の中に兵士が無言ならんでいるようでした。今日は十五夜、、、。(2019年秋詠)
秋深む使はぬままの日焼け止め
九月も今日まで。毎年の事だが、使うようにと渡されている日焼け止めは机の端っこに置いたまま。使ったほうが良いのだろうが、、、。(2019年秋詠)
稔り田を舐めて風来る勝手口
掲句は昨年の稲刈前です。我が家の周囲、大方は稲刈が終り静かな日常が戻って来ました。昔に比べるとずいぶん早くなりました。年ごとに耕作機械が変わり、育て方も工夫されて少しずつ変わって行くようです、、、。(2019年秋詠)
秋の野の衰へに似て我が記憶
知らず知らずのうちに抜け落ちて、抜け落ちた事さえ気づかない記憶。そんな気がする今日この頃、、、。(2019年秋詠)
溝蕎麦や淵に留まる金気水
溝蕎麦は好きな花の一つです。もちろん蕎麦の花に似ているから付いた名前でしょう。そんな溝蕎麦の咲いた河原の小さな淵。ちょうど溝蕎麦の根のあたりから滲むように金気水、、、。(2019年秋詠)
浮かびては息する亀に秋の空
アイビースクエアの池にいる亀、時々息をするために浮かんで来る。ぬっと頭を出して息をする。きっとあの瞬間は亀も空を見ているのだろうと、、、。(2019年秋詠)
神官の砂利踏む木靴天高し
今日は神官の本職のほうの句です。浅葱色の衣装に烏帽子、木靴を履いて境内の砂利の中を拝殿へ。真青な空の下、、、。(2019年秋詠)
鵙猛る人間いつも見下ろされ
近くの屋根の一番上から見下ろして、通るといつも大きな声で威嚇してくる鵙がいます。毎年の事ですが、この声を聞くと秋の深まりを感じます、、、。(2019年秋詠)