近くの空地に植えられている木が花梨と気づいたのが数年前、その木にやっと実が付いたのが去年。花梨の実はどの木を見てもあっちやこっちを向いて熟れているので、たった一つ付いた実がどういう風に育つのかと楽しみに見ていたら、やっぱり重力に抵抗するような方向を向いて熟れて来た、、、。(2019年秋詠)
年月の崩す廃屋草の花
少しずつ、少しずつ、、、。(2019年秋詠)
松手入頭上にラヂオ響かせて
何やら高い所で声がすると思ったら、ラジオを聴きながらの松の手入れ、、、。(2019年秋詠)
群なして空行く雀里の秋
農家の人も昔ほど雀を気にしないようです。鳥威しも案山子もほとんど見かけませんし、今年は威銃の音もまだ聞いていません。雀の害なんて、かかる手間に比べると小さな物なのかも知れません。それにしても集団で移動する雀の姿は壮観です、、、。(2019年秋詠)
腕振つて歩く女の秋思かな
脇目も振らず腕を振ってのウォーキング、一見秋思とは無関係そうに見える。いやいやそんな事は無いかも知れない。思いを振り払おうとする腕の振りかも知れない。と、何やかや考えた時の、昨年の句。今年はコロナ以来散歩する人が増えたような気がします、、、。(2019年秋詠)
綿埃まとひ廊下のちちろ虫
また蟋蟀の句です。掃除が行き届いていない我が家の廊下(と言うほどの長さは無い)で見つけた蟋蟀。何んとか元気なうちに外へ、、、。(2019年秋詠)
深々と畔の鍬跡落し水
昨日の続きのようになりましたが、気づくと近所の田圃でも水が落とされ始めました。淡々と静かに、朝の散歩で突然に見つける鍬の跡。来週あたりには稲刈が始まるのでしょう、、、。(2019年秋詠)
稲架襖一枚で足る棚田かな
先週句会への道すがら見た吉備中央町あたりの田圃ではもう稲刈りが始まっていました。それは比較的大きな田圃でコンバインが動いていました。掲句は昨年、峠に差し掛かってからの小さな棚田です。あえて稲架を使われているようでした。棚田で手をかけて育て、稲架を使って干して、きっと美味しいお米になるのでしょう、、、。(2019年秋詠)
もろもろの家の隙間や秋日入る
「ごめんよ」とも「入るよ」とも言う訳でもなく、知らぬ間に部屋の中に日差が入る季節になっている。実はこの日差が昼間の暑さに大きく影響していると気が付いた。日差を遮った薄暗い部屋にするとエアコンの効きもずいぶん違う。そのエアコンともそろそろさようなら。日差が恋しくなる季節が近づいて来る、、、。(2019年秋詠)
灯火親し戻りし猫がすり寄り来
今年は残暑続きで、灯火親しには程遠いですね。猫も離れて鳴いています、、、。(2019年秋詠)