花冷や遠き工場の朝の楽

朝の始業のチャイムやら、ラジオ体操の音楽やら、歩いていると遠くの工場や会社からいろんな音が聞こえてくる。自らがその中で働いていた頃には聞くことが無かった音、こんな風に聞こえるものなのかと、五年も経って改めて思う、、、。(2016年春詠)

花冷や屋根よりクレーンぬつと伸び

桜前線北上中です。とは言うものの、まだまだ寒い日がありますね。掲句は昨年ですが、先日の倉敷での句会の時に、アイビースクエアのメタセコイアの大木のそばにクレーンが伸びていました。メタセコイアよりも高く、見ごたえがありました、、、。(2016年春詠)

花冷や閉ざす町屋の忌中札

ネットで俳句を始めて5年目ぐらいの頃、吟行も句会もこれが始めてだった。倉敷でオフ句会という甘い言葉に誘われて出かけたが、いきなり五句出句と聞かされ唖然としながら作った句。アイビースクエアから阿智神社へ向かう途中の立派なお宅、忌中札が貼られ閉じられた木戸がいかにも寒そうだった。あれから10年、今では倉敷へは年に何度も吟行に出かけるが、あのお宅がどのお宅だったのか未だに分からない。とにかく夢中で過ごした一日だった。そして私が初めてH女史に会ったのもこの時だった。水色のカーディガンを着た女史はひときわ目立つ存在で、すでに風格すら漂わせていたのである。(2002年春詠)