しばらくこのシリーズで、、、。満月でした。午後七時ぐらいだったでしょうか。病院のお世話になった方々に見送られ、裏口から病院を後にしました。その空に、、、。(2003年春詠)
音たてて酸素出てゐる日永かな
しばらくこのシリーズで、、、。父の病室での句です。父は薬のおかげで夢とうつつの間を行き来しているような状態でした。高階の病室は静かで、窓には午後の日差しがあふれています。聞こえるのはバルブから出る吸入用の酸素の音だけです。この音さえなければ、こんな平和な部屋は、、、。(2003年春詠)
冴返る病院裏の常夜灯
病院のそれも裏口の常夜灯です。父が亡くなる前、すでに医者から告げられた余命の日数は越えていました、、、。いつまでたっても反省ばかりで、今ならもっとしてやれる事があったと思うのですが、過ぎてみないと分からない、、、。(2003年春詠)
毎日がだれかの忌日鳥帰る
いつも見ていただいてありがとうございます。やっと五年が過ぎ、今日から六年目に入りました、、、。(2016年春詠)
鳥よりも巣箱の多し山笑ふ
早島公園の頂の広場には周囲に植えられた木々に巣箱がたくさんかかっています。ですが、夜になると戻ってくるのか、昼間はほとんど鳥の姿を見ることがありません。低い位置にも巣箱があるので、中を覗いて見たい誘惑もありますが、良い大人ですからそんなことはしません、、、。(2016年春詠)
春場所も外吹く風も荒れにけり
今年の春場所は明後日(3月12日)が初日です。相撲は好きで毎場所楽しみにしています。が、こんな句を残していながら何が荒れたのかサッパリ覚えていません。初場所で優勝した琴奨菊の成績が悪かったのは確かですね。そんなことが無いように、稀勢の里には頑張ってほしいと思いますが、横綱昇進後の行事の連続を見るとう~ん、、、。(2016年春詠)
繕はれ土塀の土の春もやう
早島に行くと「不老の道」と言うウォーキングコースがあります。いくつもコースがあって、道しるべが整備されて距離も書かれています。初めてでも迷わないような良い設定がしてあります。その中の早島公園あたりでの句です。古い家が多く、本格的な土塀が見られます。以前は崩れかけていたその土塀が直されて、それも元の塀とは色が違って複雑な模様になっていた昨年の春の句です。安易に春模様としてしまいました。反省、、、。(2016年春詠)
野遊の列青い靴赤い靴
また園児の句です。徒歩通勤の途中、ちょうど出かけるところの集団に遇いました。近所の広場からバスに乗るのでしょう。父兄も一緒でよけいに賑やかでした、、、。(2003年春詠)
アンテナは同じ方向き春の風
屋根の上に見える昔ながらのアンテナは八木アンテナと言います。今はケーブルテレビの普及や、壁型のアンテナが出来て、昔ほどは見られなくなりましたが、それでも古い街を歩くとまだまだ残っています。必ず同じ方向を向いていて、その方向を見ると山があり、テレビ塔があるのです、、、。(2016年春詠)
菜の花や線路伝ひに猫の道
今年も線路の土手に菜の花が咲き始めました。一度撒いてから毎年咲いてくれますが、以前に比べるとちょっと小さくなった感じがします。たぶん土に養分が無くなってきたのだろうと思います。掲句、その昔の古い句です、、、。(2003年春詠)