事切れて蛇一本の紐となる

また蛇の句です。自然は良くしたもので、たいていの場合はほっておいても、カラスやらトンビやら狐やらの餌になって片づけられてしまう。そうで無ければ夏の暑い日差しに焼かれてカラカラの干物になってしまう、、、。(2015年秋詠)

秋涼し風まつすぐに通る土手

川沿いにある土手の桜並木の、その端っこの辺、ここが一番涼しい。東西に開けている盆地の、最も東西が見渡せる位置とも言える。「あそこまで行けば涼しいからね」と犬に話しながら、実は自分に言い聞かせながら歩く。残暑はまだまだ厳しい、、、。(2015年秋詠)

戦争を知らぬ我等の終戦日

母は時々戦時中の事や岡山の空襲の事を話してくれたが、父からその時代の事を聞いた記憶は無い。終戦当時水島で飛行機を造っていた事も、父からではなく他の家族から聞いた。父が亡くなり初盆の時に、知らない名前の方から盆提灯が届いた。この時に初めて、父が当時の仲間と同期会を作り活動を続けていたこと、その知らない名前の方がその中のお一人だという事を母が話してくれた。子供の頃の記憶では、父に限らず、周囲の大人はあまり戦争について話したがらなかったような気がする。まだ戦後の色濃き時代だった、、、。(2015年秋詠)

空蝉のすがりし形みな同じ

西川緑道公園での句。岡山での句会がなくなって西川緑道公園にもしばらく行っていない。きっと今頃は頭の中にまで響いてくるようなクマゼミの声に覆われていることだろう。注意して見ると下の植え込みの中には無数の蝉の殻が見つかる、、、。(2014年秋詠)

露草の僅かに残す星の色

カレンダーに赤い印があるので見ると、今日は山の日なんですね。昔はなかったなあと思いながら、毎日が休日の身の上には影響ないなあと、、、。先日墓掃除に帰省してきましたが、故郷の山は良いものです。313号線を走って多和山トンネルを抜け、高梁に下っていくと一気に山の雰囲気が変わります。故郷が近づいたことを実感する一瞬です、、、。(2015年秋詠)

盆僧の上がればすぐに鈴鳴らす

昨日は実家の墓掃除に行ってきました。毎年申し訳なく思いながら墓掃除をします。実家は空家なのでお坊さんは来られません。何かの時にお坊さんに聞いたら「お寺のほうで拝んでいますから大丈夫です」との返事で、以後安心しています。掲句は散歩途中に見かけたお坊さん、忙しそうでした、、、。(2015年秋詠)