朝日受く新聞受けのなめくぢり

庭に植えておいたキャベツ、玉になるのは無理だろうとあきらめていたら、何とか形になった。待って、待って、満を持して採ったら、中がナメクジだらけだった。それでネットで調べたら家庭菜園のナメクジ対策にはコーヒーが効果的らしい。というので先日から、ドリップの後のコーヒー滓を溜めている。先は長い、、、。そういえば昔からナメクジは多かった、と思い出したのが掲句、、、。(2000年夏詠)

睡蓮の池眠らせて雨しとど

ヘッダーの写真は今年の入梅前の衆楽園、睡蓮が池を覆うように増殖している。掲句は2012年の梅雨のさ中の衆楽園、人の姿は無く、池はまるで眠っているようだった。それにしても、睡蓮の勢いがすごい!ひしめき合って、年々勢いを増しているような気がする、、、。(2012年夏詠)

飛行機の音の流され青嵐

(6月3日)今日にも入梅かという日です。風の強い日ですが、青嵐とは少し違いますね。飛行機は音ばっかりで、姿はありません。こちらも、掲句の時と違い雲の上だからです、、、。それでも、幸いなことに、昨日までの暑さが嘘のようです。過ごしやすいですね、、、。(2013年夏詠)

牛洗ふやうに田植機洗ひをり

牛の代わりはトラクターだろう。考えてみればそうなのだが、家の前で丁寧に田植機を洗う姿を見て、なぜか記憶の片隅にある田植の後で牛を慈しむように洗う映像が重なった。ほんとうにかすかな記憶で、私が小学生のころには耕運機があっという間に普及し、田の中に牛を見ることは無くなった。農繁期休暇なんていうのもあったなあ、、、。(2013年夏詠)

天に地に空あり代田広ごりて

農作業を観察してみると、前日の夕方までに代掻きを済ませ、翌日朝から田植というケースが多い。夕方の代掻きが済んだばかりの田には濁りがあるが、一晩たつと落ち着いて澄んだ色となる。それを散歩の土手の上から見ると、ちょうど昇りかけた朝日の光の角度によるのだろうか、まるで上下に空があるようにきれいに映って見える。前日の夜に、遅くまでトラクターの音が響いていると思っていたら、一晩でこの風景が出現するのである。それも兼業農家が多いからだろうか、合わせたように一斉に休日に、、、。(2013年夏詠)

物干のパジャマだらりと走り梅雨

中国地方の統計を見てみると、1963年の入梅は5月8日ごろとなっています。子どもの日を過ぎたと思ったらもう梅雨か、敵わんなあ、と牛二少年が思ったかどうか、記憶にはありません。遅い年では1968年、6月24日ごろとなっています、、、。(2010年夏詠)

声がして鳰の浮巣はあの辺り

吉井川の私が散歩する側は広い河川敷があり公園になっている。川を挟んだ向こう側は岸辺に山が迫っており、ほどよく緑が茂っている。笑い声のような鳰の声が時々聞こえてくる。声はすれども姿はない。浮巣もまだ見たことがないが、きっとあの辺りなんだろうと想像している。もう少しすれば浮いたり沈んだり、小さな姿が見えるようになる、、、。(2009年夏詠)