行合の空や秋雲控へめに

行合の空なんて洒落た言い方があるものですね。季節が移り変わる中間点の空を行合の空と言いますが、ことにそれらしいのは夏から秋へ移る頃の空ではないでしょうか。まだまだ暑い空には積乱雲が勇姿を見せていますが、その空の端っこのほうで申し訳なさそうに秋の雲が流れて行きます。何となくその間に感じられる区切りが前線でしょうか。やがて立場は逆転して、積乱雲が隅っこのほうに見られるようになるのですが、もう少しですね、、、。(2014年秋詠)

秋雲や確かに地球まはりけり

井倉洞吟行<その3>草間台地から県道を井倉洞近くまで下りると、途端に峡谷らしい風景になります。切り立った石灰岩の岩肌の裾を、洗うようにカーブして高梁川が流れ、ちょうどそのカーブしたあたりに井倉洞の入口があります。駐車場に車を置き、集合場所の井倉駅まで歩きました。昔から賑やかな町ではありませんでしたが、いっそう寂れたような印象を受けました。駅前の色褪せた「歓迎」のアーチの下で、山上を流れて行く雲を見上げていると、こんな句が出来ました。-続く-(2012年秋詠)

夏雲と秋雲空を住み分けし

ある季節が去り、次の季節に移り変わろうとする頃の空を「行き合いの空」と言うそうです。もちろん夏から秋に限った事では在りませんが、美しいのはやはり夏から秋への「行き合いの空」ではないでしょうか。上空にはすじ雲、遠くの山の端には小ぶりですが峰雲が立ち上がり、両方の美しさが見える時があります。(2010年秋詠)