遭難して無人島に流れ着いた人が空ビンに手紙を入れて海に流す。やがてそれが海を渡り人の目に付き無人島に救助の船が来る。なんて言うような物語が昔の雑誌にはよく載っていました。少年は同じように空き瓶で手紙を流すと誰かに届くかも知れないと何度もビンを流しましたが、あのビンはどこへ行ったのでしょう?大海へ出たまま、いまだに漂っているのかも知れませんが、海がよごれる原因になりますので、良い子はまねをしないでください、、、。(2014年春詠)
投稿者: 牛二
病室の窓吹き上げて行く落花
三月に父の十三回忌を済ませました。早いものです。掲句は父が亡くなる少し前の高階の病室で、窓の外を眺めながら母が話してくれた事を詠んだ句です。母はその病院で父の前にも祖父や祖母を看取った事があるのですが、その時に見た窓の外を吹き上げてくる桜の景色が忘れられないと、コテコテの岡山弁で目を輝かせながら話すのです。この時が初めてでした、私の感性は母から受け継いだものだと認識したのは。私は、父がもう少しがんばってくれればまたその景色が見られるね、と、私もその景色を見たくて言ったのですが、結局桜を待たずに父は逝ってしまいました、、、。(2014年春詠)☆
花吹雪職務質問おあづけに
西川緑道公園を北へ北へと歩いて行くと岡山県警察本部がある。そのせいか、ここまで来るとそれらしい人も多くみかけるし、制服姿での交通取締りも多い。掲句は二人組、制服姿で遠目だったが手にバインダーのような物が見えたので職務質問ということに。二人ともちょっと息抜きか、風に散る桜を見上げて、肩の力も抜けているように見えた、、、。(2014年春詠)
朝鮮人受難碑落花しきりなる
西川緑道公園にある朝鮮人受難の碑、両岸の桜がしきりに散っている。昨年の4月10日の日付があります。近くにはヴィーナスの像や大きなメタセコイアの木もあり、緑道公園では比較的静かな一画です。11時過ぎでしたが、ベンチには落花の中でお弁当を楽しんでいらっしゃる方も何人か見かけました。碑文の中身までは読んでいませんが、かつて受難の時代があったことは想像するに難くないですね、、、。(2014年春詠)
今日の日の晴るる予感の朝桜
岡山へ句会に行く日の朝の句です。雨が平気な方もいらっしゃいますが、どちらかと言うと晴れたほうが(それも適度に)私は好きです。とりあえず朝の散歩で遠くから見た桜の姿で天気予報をしてみましたが、この日は大当たりでした。ただし、適度は越えて、初夏のような晴天、、、。(2014年春詠)
花の下拾ひし子供銀行券
昨年の鶴山公園での句、上ばかり見ていても句が出来ないので、下を見たらこんな物を拾ってしまいました。昔の子供銀行券と違い良く出来ていますね。遠目に見るとドキッとして、つい手が出てしまう、、、。(2014年春詠)
人は上犬は下見て花の昼
今年も桜の季節になりました。また日本人らしく桜の句を書きますね。とは言え、皆さん詠まれる桜ですから、類句類想はご容赦を、、、。(2014年春詠)
万愚節三鬼の生家素通りに
四月一日はエイプリルフールでもありますが、西東三鬼の忌日でもあります。三鬼の生家は一方通行の裏通りから二三歩上がったような位置にある小さなお家です。道路沿いに立派な句碑がありますのですぐわかります。今は一般の方の住居ということで拝見は出来ないので、いつも素通りです。三鬼の墓はそこから少し歩いた成道寺というお寺にあります。以前一度お参りしましたが、思いのほか小さなお墓でした。墓地が広かったので、次に来るときのために墓地のこの辺りと記憶して帰りました。ところが昨年行くと、あの広かった墓地がほとんど埋まり、とうとう三鬼のお墓を見つけられなかった、と言う、ホントに四月馬鹿な日のお話です、、、。(2014年春詠)
春宵の闇に匂へる物いろいろ
芽吹きの匂と私は思っているのですが、どこからともなくそういう匂がしてきます。他にも花の匂であったり、田圃が始まると肥料の匂であったり、鼻は休まることがありません。花粉症の方にとっては辛い時期なのでしょうが、そうでなくて良かったです、、、。(2014年春詠)
名草の芽似ていて非なるもの数多
とうとう草取りに精を出す季節になってきましたね。栴檀は双葉より芳しと言いますが、そうでない庭の植物には、植えたものか勝手に生えたものか、双葉の頃にはさっぱりわからないものが多いですね。何だろう?と思いながら育てていると、どんどん大きくなって、結局雑草だったりするのですが、雑草と決め付けるのは人間で、植物のほうにそういう意識がないのは確かです。それにしても、よく似た草があるものですね、、、。(2014年春詠)