百日紅残る頼りの叔父一人

新暦では盆です。カレンダーを見ると「ぼん」と書いてあります。「盆」ではなくて「ぼん」です。別のカレンダーを見ると、これもやっぱり「ぼん」でした。百日紅がきれいです。父は一人っ子でしたので、父が亡くなってからは母方の叔父が頼りでした。何かと相談に乗ってもらいましたが、気が付くとその叔父ももう九十歳、月日がたつのは早いものです、、、。(2014年夏詠)

洋館のフェンスは白し南瓜咲く

毎年のことですがコンポストに入れたカボチャが芽を出しました。せっかくだからそのまま植えて置いたらいつの間にか大きく育って、ついに生垣を突き抜けてしまいました。今50Cmほどでしょうか、生垣の上に覗いています。花も咲いていますが、まだ雄花ばかりです。何個か収穫できれば良いのですが、、、。掲句は散歩途中にあるお宅、、、。(2014年夏詠)

啓蟄の菰焼く煙まつすぐに

昨日が啓蟄でした。良い天気でまさに啓蟄日和と言いますか、ナメクジまで出ていました。もちろん初物なので縁起物という事で逃がしてやりましたよ。掲句は2年前に見た菰焼きです。虫も災難、無理やり探されて、写真に撮られて、、、。(2014年春詠)

節分の豆のごとくに融雪剤

やっと節分まで漕ぎ付けました、、、。南の地方では見られないでしょうが、この辺りでは冬の間は一般道でも転ばぬ先の杖の融雪剤が普通に撒かれています。大粒の、豆と言うのはちょっと大げさですが、霰程度はあります。ちょうど節分だったので豆にしちゃいました、、、。(2014年冬詠)

着ぶくれて缶コーヒーを手に男

句会への途中に国道429号線沿いの自動販売機脇で見かけた景、昨年の句です。今年の冬のテレビコマーシャルに、自動販売機の温度を2度上げたというのが有りましたが、ちょうどあの姿でした。あのCMを見る度に思い出して、、、。(2014年冬詠)

待春の田にひとすじの煙立つ

眠りから覚めるように、少しずつ農作業が始まっている。休日になるとトラクターの音が響き、散歩の度に起された田圃の数が増えてくる。枯れきった雑草や残った藁屑を集めて燃やすのもこの頃、田圃から立ち上る煙を見ると春が近いことを感じる、、、。(2014年冬詠)

狐火の一つ煙草の火にしたし

面白いですね。歳時記にはこんなものまで季語として載っています。狐火、いわゆる火の玉です。見た事があるかと言うと、ありませんが、ちょっと強がってこんな句にしてみました。煙草は止めて二十年が過ぎました。そろそろ健康への影響が無くなった頃ですね、、、。(2014年冬詠)

軽トラに猪の転がる杣の道

句会への道すがら、ちょっと寄り道をしているうちに細い山道に入ってしまいました。その細い道路脇に寄せて止められた軽トラックが一台、人の気配は無く、前面には古びたシルバーマークがついています。何とか通れないことは無いかとスピードを落として、すれ違おうとして驚きました。荷台に転がっていたのは猪です。見間違いかと思い、バックして確かめましたが、確かに猪でした。それも巨大な、、、。(2014年冬詠)