春雨や窓にうるみし茶房の灯

早島のいかしの舎の一角にある茶房いかしの舎、窓からは庭園の一角が眺められる。外は雨、窓ガラスは暖房と厨房の湯気と雨とでしっとりとしているのだろう、庭の景色の中に室内の灯が映って、潤んで見えていた、、、。(2014年春詠)

霾ぐもりなにやら他のものまでも

PM2.5のせいですかね。同じ黄砂の日でも、昔はもう少し明るかったように思うのです。砂だけなら自然の物なので、まだ許せますが、PM2.5は許せませんね、、、。アレェ~、なんと今日で三年ではありませんか!目標の三年達成ですョ!ありがとうございます。皆様の叱咤激励のおかげです。もういつ止めても大丈夫と思いつつ、明日以降は惰性でがんばります。引き続きご愛読をお願いします、、、。(2014年春詠)

板橋に光ちりばめ別れ霜

あれが別れ霜だったかと、後になってみないと分からないのですが、勝手に別れ霜だろうと決め付けて早々と句を作ってしまいます。と言うよりも、もうこれでお別れにしてよと、こちらからサヨナラを言いたいのが別れ霜かも知れませんね、、、。(2014年春詠)

梅の花カメラは匂写せざる

車で少し行ったところに梅の里公園があります。公式発表で広さ4ヘクタール、梅の木の数2000本以上ですから、ちょうど良い時期に行けば、それは見事なものです。とは言うものの、なかなかちょうどの時期にあたらないのが自然の難しさです。遠くから来られてガッカリされている姿を見ると、ホント気の毒になります。今年はどうだろう?我家の前のお宅の梅も咲いたし、そろそろ見頃の予感はするが、、、。(2014年春詠)

三匹の黒猫ならび春の月

私が前住んでいた所のすぐ近所の猫好きのお宅、いったい何匹いるのだろう(?)と思っていたら、町内の新年会のときにご主人が片手を広げて「餌代がこれだけ!」すかさず「えっ、五千円?」と向かいの席の女性、「違うがな、五、万、円」と、これは隣の席の男性、「飼うとるとなあ、可愛いんで、わしらよりよっぽど金がかかる」と言いながら、ご主人は酒の入った顔を黄門様のように崩した。今はご夫婦での年金暮らし、、、。(2014年春詠)

幾年も越えし春泥越えにけり

河川敷の公園が河原だった頃を思い出してみると、その頃にいつも水がしみ出ていたような場所は、整備された後も同じように少しの雨でも水溜りが出来て、春の間は「エイヤッ!」と気合を入れて飛び越えなければならないようになる。もう何年になるのだろう、と思いながら飛び越したときの「エイヤッ!」と作った句、、、。(2014年春詠)

近寄れば離れ川原の春の鴨

河川敷公園の芝生や土手の草が芽吹き始めると、鴨たちは地上に上がってその芽をついばむことが多くなってくる。何とか邪魔をしないでその側を通りたいと思うのだが、鴨たちは毎日見ていても人畜無害の人間と犬とは思えないようで、ある程度まで微妙な距離を保っているが、それを越えると一斉に飛び立って、水面へと退避していく。逃げなくてもいいのに、と思いながらしばらく歩いて振り向くと、もう元の辺りに戻っていることが多いが、、、。(2014年春詠)

水草生ふ光かがよふ所より

昨年の暮あたりから散歩の途中で時々釣をしている三人組に会うようになった。三人ともたぶんマレーシア人かなと思う東南アジア系の色黒の痩せた若者で、寒い中で防寒着姿で釣をしている姿は見るからに寒そうで、彼らは絶対に雇い主に搾取されているのだろうと考えてしまう。「こんにちは」と言えば「コンニチハ」と頼りなさそうな返事が返ってくるが、それ以上の質問は理解できないようなので挨拶だけで通り過ぎるようにしている。暖かくなって良かったね、ここより向こう岸のほうが釣れるらしいよ、と教えてやりたいのだが、、、。(2014年春詠)

園児らの帰りて雛さびしさう

めずらしく雛の句がありました。昨年の二月、倉敷市観光休憩所での句です。休憩所の隅に段飾りのお雛様があり、ちょうど訪れていたお揃いの服の園児たちが賑やかにしていました。句会が始まる頃にはその子たちも帰り、休憩所はいつもの静けさに戻りましたが、なんだかお雛様はみんな寂しそうに見えました、、、。今年も同じ頃その休憩所で句会をしましたが、今年はなんと、休憩所を占領するほど大勢の園児が訪れていて、いやもうお雛様も大変、、、。(2014年春詠)