倉敷中央通りの銀杏も、もう散っている頃だろうか。掲句は昨年の27日、通りに面した観光バス駐車場の警備員さんが、バスの出入りがないと手持無沙汰なのだろう、緊張感なく銀杏落葉を眺めている姿があった。ちょっと遠くから見るといい感じ、絵になる(いや、句になった)、、、。(2014年冬詠)
カテゴリー: 2014
小春日や笠は黄色の女車夫
昨年11月、倉敷美観地区での句です。人力車もずいぶん増えたなあと思いながら追い越した時に、黄色の笠が目に入った。あれっと思って見ると女性だった、、、。(2014年冬詠)
尻上げて足で日を蹴る川の鴨
11月15日が狩猟解禁日です。例年のことですが狩猟解禁日を過ぎると、一週間ぐらいは川の鳥の数が少なくなります。最近は猟師も空の薬きょうも目にすることが無いのですが、それでも解禁日を過ぎると確実に少なくなります。どこかに安全な場所があって、解禁日からしばらくはそこへ避難するように、本能に埋め込まれているのかも知れませんね。そして十日、川には賑やかな声が聞こえています、、、。掲句は昨年、日差を浴びながら水草を啄ばむ、安心しきった姿の鴨、、、。(2014年冬詠)
冬ぬくし寄り添ふやうに犬のゐて
なんだか暖かい冬ですね。おかげで犬との散歩では助かっています。何しろリードを持つのにまだ手袋が要らないのですからね。エルニーニョの影響で、今年は暖冬ドカ雪だそうです。とは言うものの、そろそろ冬用のタイヤにしておかないと、油断しているとドカンとやられるのです。掲句は去年、寒い中の暖かい日でした。愛犬もみじは付かず離れず、主人と同じで顎のあたりに白いものが増えたものの付かず離れずの毎日です。昔と比べればおとなしくなりました。今では叱ることもほとんど無くなりました、、、。(2014年冬詠)
古書市の外は時雨の一葉忌
古い事になるが、毎年行われる図書館主催の無料の古本市に、一時期復刻本が多数出ていた事があった。著名な作家の作品を、装丁まで初版の状態で復刻したもので、何冊もいただいて帰った。本の状態はすこぶる良くて、読まれた形跡のないものがほとんどだった。その中に一葉の「たけくらべ」もあった。たぶん興味があってセットで購入したものの、読まずにそのまま保存されていたのだろうな、と思いながら開くと、本文がくずし字で書かれていて全く読めなかった。結局そのままで翌年手放すことになってしまった、、、。(2914年冬詠)
蟷螂の拝む形で枯れにけり
朝の道に蟷螂がいる。暖かい間は、近づくだけで大きな鎌を振り上げて身構えていたが、今はただじっとしているだけ。生きているのか死んでいるのか、頭の前の大きな鎌も、祈りの形にしか見えない、、、。(2014年冬詠)
水清し流にそはぬ落葉なく
西川緑道公園での句。当たり前、、、。(2014年冬詠)
浮寝鳥たがひの距離を保ちつつ
数羽の鴨が首を隠すように折り曲げて、緩やかな流れの中を漂っている。眠っているのだろうが、流されていかないということは、水中ではある程度足を動かしているのだろう。それに、くっつきそうでくっつかない。お互いに一定の距離を保っている。眠っているようで眠っていない。眠っていないようで眠っている。ちょうとテレビを見ながら転寝をして、生返事をして叱られる時のような状態だろうか、、、。(2014年冬詠)
市の列捌く男の木の葉髪
冬だから髪が抜け易いと言う事は無いけれど、木の葉髪は冬に分類されている。掲句は昨年の古書市での句。無料とあって、開始30分前には会場の前に行列が出来て、職員が列を捌いている。その髪のなんと心もとない事。横のほうの薄く残った髪を反対側まで被せてある。一生懸命動くものだから、その度に髪がふわりと浮き上がる。あまり動くと抜けるよ、と失礼とは思いつつ、開始まで時間があったものだから、ついつい見てしまった。ごめんなさい、、、。(2014年冬詠)
ゲートボール人来るまでの焚火かな
霧深い朝、河川敷にあるゲートボール場の傍で、赤々と燃える大焚き火。数人のお年よりが焚き火を囲んで談笑をしている。さらに次々とお年よりがやってくる。しばらく見なかったが、まだゲートボールは続いていたのか、と思った昨年の句。今朝、遠くから煙が見えて、同じような時季なので、ゲートボールだと思いながら近づいたら、中年の女性が一人焚き火の傍で体操をしていた。他に人は無し。どうやら単なる反故焚きの人のようだった、、、。(2014年冬詠)