地に落ちて、死んでいるのかと思って触ると動く、そんな蝉をよく見かけます。掲句の蝉も、空を向いてはいるものの、同じ落蝉。落ちて命潰えるまで、いったいどれくらいの時間が残されているのだろうかと、ふとそんな事を考えました、、、。(2020年夏詠)
カテゴリー: 2020
昨日人今日は青田の波を見る
外出の少ない日々、久し振りの倉敷での句会の次の日の朝、広がる青田を見ての句。ちょうど昨年の今頃。今年も同じ、、、。(2020年夏詠)
熊蝉や供花鮮やかに辻地蔵
倉敷市民会館近くにあるお地蔵様です、、、。(2020年夏詠)
塀の上這うて南瓜の花となる
掲句は去年の南瓜。今年も捨てた種から生えて来た南瓜が一本だけ蔓を伸ばしています。遅かったのでまだ花とはならず、やっと塀の下にたどり着いたところです。なんとか育って欲しいものです、、、。(2020年夏詠)
門川の豊かに瓜の皮流る
誰が流すのか、夏になると必ず流れて来る瓜の皮、、、。(2020年夏詠)
ありがたし雲の影来る大夏野
太陽の下を歩いていると遠くから大きな雲の黒い影、ありがたい、出来る事なら逃げないで欲しい、と、、、。(2020年夏詠)
朝涼の水使ふ音流す音
散歩途中で聞えて来る夏の朝の生活の音、、、。(2020年夏詠)
走る走る刃逃れた羽抜鶏
昔、田舎では家々に鶏小屋があって鶏が飼われていました。雛から育てて卵をとり、最終的には衰えた鶏から肉になります。選ばれやすいのが羽抜鶏でしょう。実際に見たことはありませんが、首を切られた鶏が走って逃げる話はよく聞かされたものです。掲句はそんな話を思い出して「走」の題詠で詠んだ句、可哀そうなので切られる前に逃がしてやりました、、、。(2020年夏詠)
川音も月の光も網戸越し
川が近いせいでしょうか、夏の夜もたいていは網戸だけで過ごせます。明かりを消して、月明りの中で川音を聴きながら眠りにつきます。贅沢、、、。(2020年夏詠)
見えぬもの見せて一陣青田風
早いものです。土手の上から見ると田圃はすっかり青田です。その青田を風が吹き抜けて行きます。見えない風が見える瞬間です、、、。(2020年夏詠)