落蝉の宙掴まんと足動く

地に落ちて、死んでいるのかと思って触ると動く、そんな蝉をよく見かけます。掲句の蝉も、空を向いてはいるものの、同じ落蝉。落ちて命潰えるまで、いったいどれくらいの時間が残されているのだろうかと、ふとそんな事を考えました、、、。(2020年夏詠)

塀の上這うて南瓜の花となる

掲句は去年の南瓜。今年も捨てた種から生えて来た南瓜が一本だけ蔓を伸ばしています。遅かったのでまだ花とはならず、やっと塀の下にたどり着いたところです。なんとか育って欲しいものです、、、。(2020年夏詠)

走る走る刃逃れた羽抜鶏

昔、田舎では家々に鶏小屋があって鶏が飼われていました。雛から育てて卵をとり、最終的には衰えた鶏から肉になります。選ばれやすいのが羽抜鶏でしょう。実際に見たことはありませんが、首を切られた鶏が走って逃げる話はよく聞かされたものです。掲句はそんな話を思い出して「走」の題詠で詠んだ句、可哀そうなので切られる前に逃がしてやりました、、、。(2020年夏詠)