青田風そこに命のあるやうな

土手の上から青田を見ていると風が波となって寄せてくる。稲の揺れはちょうどその先端あたりで大きく、後はしだいに小さくなって行く。時々止まるような動きをし、渦巻いたりする。まるで風も生き物のように感じられる、、、。(2015年夏詠)

青田風捨田休田まんべんに

分け隔てなく吹いて、風はいいですね。おっと、台風は困ります、、、。河川敷の公園で階段の傍に自転車を止め、階段を上り下りしている人がいる。近所の人で個人的な付合いはないが、時々話しかけられて会話をする程度の人。年齢は私より少し上だが退職したのは同じ頃だった。見るからに元気が無い。挨拶の後で、「定年になって仕事を止めたら調子が悪りいなあ。あんたはどんななら?」と聞かれたので、相手に合わせれば良かったのだが、プールから帰ったばかりだったので、つい「快調!調子いいですよ!」と元気よく答えてしまった。ちょっとビックリした顔になって次の言葉が無かったので、慌ててプールのことを話して薦めたら、「定年を過ぎて、この歳になって、今更水に入ろうとは思わんなあ」との答が返ってきた。ホントは、「それがダメなんですよ!○×△□!」と言いたかったのだが、犬も待っているし早々にその場を離れた。振り向いたときには、自転車はもう自宅のほうへ向っていた、、、。(2014年夏詠)

堰二つ水音二つ青田風

いつもの散歩コース、田圃の真中をまっすぐに広い道が走っている。その道に沿うように、これも大きめの用水路がある。用水路にはそれぞれの田圃の水口に堰が設けてあり、板を差し込んで水量を調節するようになっている。田植の頃には激しい音をたてていた堰も、青田の頃になると必要な水量も少なくなるのだろう、どの堰も落ち着いた軽やかな音をたてている。(2010年夏詠)