蝋梅の一枝柩を閉づる前

義母の葬儀は小さな部屋での家族葬だった。部屋に入ると線香とは違う香りが漂っていた。見ると祭壇に蝋梅が一枝挿してあった。「あ、これか、もう蝋梅が咲いているんだ」と思いながら手を合せた。その蝋梅を最後にそっと胸元に添えたのは義姉だった。もう一年、義母の葬儀での句、、、。(2019年冬詠)

枯葎何気なさげに獣道

道路沿いにある遊休地、何年も経つうちに草ぼうぼうになり、いつの間にか狐まで住みついているらしい。時々こちらに気づいて慌てて茂みに逃げ込む姿を目にすることがある。逃げ込んだのはこの辺りと探してみると、確かに枯草の間が少し広がっているようにも見えるが、はたしてこれが獣道なのかどうか。姿はもう無い、、、。(2019年冬詠)