梅雨の晴間の散歩の途中、田園地帯の一角にある墓地へ向う黒服の列があった。列ももう終わりのほうなのだろうか、二三人続いては間が開き、また二三人が話しながら続いていく、、、。(2013年夏詠)
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片陰を出るに逡巡二度三度
と言うことで、涼しいところから出るには勇気が要ります、、、。(昨日の続きです)(2013年夏詠)
涼しさの集まる所椅子置かれ
まだ梅雨最中、晴れても気持ちよい暑さとはならない。昨日の蓮田、傍の道べりに休憩用のテントが一張りあった。とりあえず一休みと椅子に座ったら、ちょうどそこだけ、気持ちよい風が通っていた。土地の人の心遣いに感謝、、、。(2013年夏詠)
手に受けて空のくずれし蓮の露
蓮の葉も撥水性があり、葉も大きいので水がたっぷりと溜まる。空を映した大きな水玉を、そのまま手に受けようと思ったが無理なことだった、、、。久米南にある蓮田での句、木道は田の中まで続き、葉や花に埋もれるような感じがする。雨の日は葉に溜まった水が突然に零れて来るから要注意です、、、。(2013年夏詠)
出水禍の電車ゆつくり橋渡る
線路脇に住んでいると、通り過ぎる列車の音がいつの間にか日々の生活のリズムに入り込んでいる。時々、掲句のようなことであったり、いつもは通ることの無い列車が通ったりすると不思議とそのリズムの違いに気づくものである。いつまでも続く通過音に気づくと、長い修学旅行列車であったり、ミステリー列車であったりすると旅心を誘われて楽しいが、、、。今日から七月、梅雨ももうしばらく続くだろう、、、。(2013年夏詠)
片陰を選つて猫来る裏通り
日課の縄張りめぐり、猫だって涼しいところは知っている、、、。(1999年夏詠)
山並の涼しくかげり行く雲か
高い所から遠くの山並を見ていると、その山並を大きな黒い雲の影が走るように覆っていった。同時に自分のいる場所も雲に覆われ、つかの間の涼しさの中に入っていった、、、。(2013年夏詠)
建前のクレーン伸びきる梅雨晴間
梅雨の晴間だけのことではありませんが、思わぬところで空に伸びたクレーンを見るのは何となく好きです。掲句、そのクレーンが完全に伸びきって、梅雨の垂れ下がった雲に今にも届きそうな感じだった。だいぶ遠いところだが何が出来るのだろうかと、そのクレーンの下あたりの地図を頭の中に描いて想像するのも楽しい、、、。(2013年夏詠)
鳶も子を育てるころぞえごの花
吉井川の川向こうに岸辺まで山がせり出したところがあり、高木が茂っている。この時季岸辺には、これも大きなえごの木に咲く白い花がちょうど良い距離感を持って眺められる。高木のどこかに鳶が営巣しているのであろう、えごの花に合わせるように、鳶の子の甘え声が聞こえるようになる。鳶の子は襲われる心配がないのか、その甘え声は大きくてうるさいぐらいに賑やかだ。ちょうどあのピーヒョロロを甘え声にした感じの声、、、。(2011年夏詠)
羽広げ風を呼込む鵜のかたち
いつ頃からか覚えていないが、吉井川にも河鵜が増えたり減ったりしながら生息している。時々川の中の岩場で羽を広げて動かない鵜を見かける。たぶん羽を乾かしているのだろうと思うのだが、寒い冬の雪の降る中でも同じ形でいることがあるからどうだか、、、。(2011年夏詠)