遠く鳴る始業のチャイム揚雲雀

仕事を辞めて十年目、揚雲雀の声を聞きながら朝の散歩をしていると、風に乗って遠くの会社の始業のチャイムが聞こえてきます。曲は聞きなれたウエストミンスターの鐘、どこの会社ともわかりませんが微妙に懐かしい響きです、、、。(2020年春詠)

リュック背に老いし少年揚雲雀

昨年の句。見た感じでは年の頃は八十ぐらいでしょうか。きちんとした服装に白い帽子、背中にリュックを背負って田圃の中の道を桜並木を目指して歩いて行かれる。背筋も伸びて足取りもしっかりして、まるで少年のよう。花の期間に何度も同じ方を見かけました、、、。(2019年春詠)

遠山にまだ白きもの揚雲雀

日々の散歩コースから中国山地の山並が遠くに見える。その山並が白くなることで冬の訪れを知るが、春までその状態が続くわけではない。白くなったり消えたりを繰り返し、気がつけば白く見える日がなくなっている。たまに寒い朝があり白いこともあるが、同じ白でもそこには冬に入るときの厳しさはなく、どことなく山並全体が丸みを持っているように見える。見るほうの心の持ちようかも知れないし、晴れた空を満喫している雲雀の声のせいなのかも知れない、、、。(2013年春詠)

くもりなき空に塔あり揚雲雀

国道429号線を倉敷へ走っていると田圃の向うに見える五重塔に、ついつい寄道をしたくなる。時間も無いのでと、南側の駐車場から眺めるだけにしたが、それでも雲ひとつ無い空と五重塔と揚雲雀と、いにしえに想いを馳せるには十分な風景だった、、、。(2013年春詠)