昔、徒歩通勤をしていた頃、残業が終わって帰る途中に小さな町工場があった。夏になると開け放った窓からラヂオのナイター中継の興奮した声と一定のリズムを刻む機械の音が一緒になって聞こえて来た。どんな仕事をされているのだろうと気になったが覗いた事はない、、、。(2020年夏詠)
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ラジオよりナイター流る紙器工場
通勤途上に倉庫を改造したような小さな紙器工場があった。時々朝早くから親会社のトラックが止まり、裁断したダンボールの束を降ろしているのを眼にしたが、従業員はいつも同じ人を一人見るだけで、他に人声がすることもなかった。裁断されたダンボールを箱に加工するのが仕事らしく、通る度にいつも古びたプレス機の音が単調にカタコンカタコン続いていた。冷房が無いのか夏には窓が開き、夕刻に通りかかるとラジオから、ナイター中継のアナウンサーの興奮した早口の声が、プレス機より大きな音で聞こえて来るのだった、、、。(2000年夏詠)