老犬の眠りて耐ふる夏の昼

先日暑いけどもう少しと思いながら剪定をしたら、後から頭痛がして、泳ぎに行っても足に力が出ないのです。どうやら熱中症の初期症状のようでした。幸い次の日には何とか治りましたが、我も老犬、無理を出来る歳ではないと言うことでしょう、、、。(2017年夏詠)

七回忌母呼ぶごとく河鹿笛

実家の墓地の近くを流れる小川、墓参りを済ませて帰ろうとしていた耳に聞こえて来たのは河鹿蛙の声でした。昔は夏の夕方になればいくらでも聞こえた声ですが、最近は聞いたことが無く、すっかり絶滅したのかと思っていました。母からのプレゼントだったのでしょう、命日は九月なのですが都合で早めに七回忌をして良かったと思った瞬間でした、、、。(2017年夏詠)

老鶯や輪廻説く僧若かりし

遅いよりは早いほうが良いとの事で、昨年の七月に母の七回忌を行った。実家のお寺さん、まだ若いのによく勉強されていて説教が上手、ついつい引き込まれてしまう。と言いながら本堂の外で鳴く鶯の声をしっかり聴いていた、、、。(2017年夏詠)

ひび割れの奥に地の闇青田干す

ちょうど青田になった頃、根をしっかりさせる為に一度水を抜いて田を乾かす。昔はもっと遅かった気がするが、今の稲作は田植から収穫まで四か月、今が干し時のようだ。水が引いて太いひび割れが出来、土の匂いがしてくる。しばらく乾かした後に、いつの間にかまた水が入れられている、、、。(2017年夏詠)

戸を開き心を開き夏座敷

やっと天気予報から雨のマークが消えました。これぐらい晴れの日を待ち望んだ年も珍しいですね。県南ではとんでもない水害が起こってしまいました。被害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げます。我が家も川の近くですが、幸いにも何事もなく過ぎてホッとしています、、、。(2017年夏詠)

伸びきつて端が地に着く蚊遣香

使いさしで消しておいた渦巻の蚊取線香、線香立てに差した真ん中を中心に円錐形に垂れて元気がない。上下反対にするとしばらくは漏斗状に形を保っているが、端から次第に下がってくる。当然の事ながら火をつけてもすぐ消える、、、。(2017年夏詠)