黒南風や掃けばまた散る山法師

我が家にある源平山法師、同じ木から白と赤の花が咲く。赤と言ってもピンクに近い上品な色。赤の出る確率は年によって違う。天候のせいか今年は赤が多く、十分に楽しませてもらった。山法師の花は咲き始めは小さく、長い期間をかけてしだいに大きく成長していく。梅雨の頃が散り時で、その頃にはもう衰えた花びら(苞)の中心に青い実が出来ている、、、。(2018年夏詠)

黒南風や昼は「野ばら」の楽流れ

正午になると少し離れたところにある緊急放送用のスピーカーから電子音で「野ばら」の曲が流れてきます。夢中になって庭いじりなんかしている時には便利です。ちなみに朝六時は「みかんの花咲く丘」、夕方五時は「故郷」です、、、。(2018年夏詠)

黒南風やまたまちがへて大通り

街は大通りばかりが目に付くけれど、実は裏通りのほうが面白いところが多い。との持論で、さまよい歩くのだが、またしては大通りに出てしまう。実は街をさまようときにはこれが大事で、基本となる大通を覚えておけば、大通りにさえ出れば迷子になることは無い、、、。ワールドカップが終わってしまいました。最初に書いた6月3日には正直決勝に行けるとは思っていませんでした。それがとうとう準優勝、立派です。試合ごとにチームが出来上がって行くのを見るのは、本当に楽しいことでした、、、。次は大相撲七月場所、12日には始まりますね、、、。(2014年夏詠)

黒南風や死せば更地となり売らる

私がここへ来た時にはもう一人暮らしだった、上品に年取ったお婆さん。図書館にあった古い合同句集に名前を見つけてから俳句の話をするようになったが、その頃にはもう認知症が始まっていて、同じ事を何度も何度も聞かれるのには閉口した。ある日「良いものをあげます」と言って、奥のほうから「西東三鬼読本」を持ってきて下さった。今でも私の大切な本だが、結局これが形見になってしまった、、、。そのお屋敷は長い間空家になっていたが、とうとうこの春から取り壊しが始まった。先日、梅雨の晴間に久しぶりに通ったら、きれいな更地になり、ちょうど二人の男が「売地」と書いた看板をたてているところだった、、、。(2013年夏詠)