杜若木洩れ日のゆれ風のゆれ

昨年書いた作楽神社の杜若が今年は全滅状態だった。多くは語られなかったが、毎年世話をされ株を増やされてきたOさんの、その悔しそうな顔つきからおおよその想像はできた。あれだけの株が一度に枯れてしまう原因は、一つをおいて他にはあるまい。見に来られた方へお茶の接待をされるテントには、見事に咲いた昨年の写真と一緒にお詫びの言葉が添えられていた。掲句、残った株を洗って植え替えたという池の縁の二株、木洩れ日が揺れる中でひっそりと咲いていた。「見られました?きれいだったでしょう」、Oさんの先ほどとは違う笑顔が印象的だった。私もこれはこれで俳人の心をくすぐるには十分な二株だと思った。また一から始められるのだろう、昨年の状態に戻るのに何年かかるのだろう、、、。(2013年夏詠)

葉の戦やがて花へと杜若

そろそろ作楽(さくら)神社の杜若が咲く頃かと見に行ったら、堀の向こう側からカメラを構えた女性に声をかけられた。「すみません、サンケイ新聞ですが・・・」おっと、しまった!まわりを見回しても他に誰もいない。しかたなくインタビューに答えたが、「お名前は?」と聞かれるので、平日にうろついているのは俳人ぐらいかと思い「渡辺牛二」と答えておいた。定年退職者の同朋諸君、平日の行動には気をつけよう。ちなみに見頃は次の日曜日(13日)あたりと思われます。※今年(2013年)はなぜか全滅に近い状態になっています。花は望めそうにありませんのでご注意ください。(2011年夏詠)