寒施行まだかと狸顔を出す

我が家の裏を走るJRの線路の土手がちょうど我が家の一階の屋根ぐらいの位置です。その線路伝いに時々やって来るのがタヌキ。下から見上げると警戒心の薄そうな顔でしばらくは逃げもせずこちらを見降ろしています。他にもキツネやらイタチやら。川にはヌートリアもいます。愛嬌のあるのはやはりタヌキでしょうね、、、。(2020年冬詠)

塵芥車さつさと狸拾ひ行く

我が家を出てすぐの所で輪禍に遭った狸が動けずにいた。まだ命はあるので、ダンボール箱に入れて我が家のカーポートに連れて帰った。動けるようになれば自分で居なくなるだろうと思っていたが、次の日の朝には冷たくなっていた。市の担当課に電話して事情を話す。すぐに取りに行きますと言うので、場所と念のために電話番号を伝えて、ダンボール箱ごと出しておく。十五分後ぐらいだったか、車の止まる音がしたので慌てて出てみると、もうダンボール箱ごと無くなって、車も見えなくなっていた。早い!なんでもこうだと良いのだけど、、、。(2016年冬詠)

スコップで狸入れられ塵芥車

狸は動作の遅い動物です。そのくせ人懐っこいものだから、人里近くに住み着いては輪禍に遭うのでしょう。掲句は出張で53号線を岡山へ走っていて目にした景です。作業をされている方の無造作ぶりが印象に残っています、、、。狸汁などと言いますが、実際は臭くて食べられないとか、狸はしばらく土に埋めておいて料理すれば臭みが取れるとか、子どもの頃に聞きかじった大人の知恵ですが、実際のところはわかりません。(2001年冬詠)