完璧と思へど曇り竜の玉

子供の頃田舎では「クスダマ」と言っていました。細い竹でクスダマ鉄砲を作り、その玉として使っていました。最適なのは程よい大きさと、傷の無い実です。それに何よりそのほうが美しい。そんな記憶があるからでしょうか、今でもついつい完璧な物を探してしまいます、、、。(2016年冬詠)

少年の心にひとつ竜の玉

立冬、いよいよと言う感じで冬に入りました。庭のあちこちに鳥の運んだ種から竜の髯が生えてきます。邪魔なところは抜くようにしていますが、隅っこの木の陰のような所は抜き忘れて大きく育ちます。数年たつと実がなり、この時季になると色づきます。その瑠璃色の艶やかな実に、子供の頃に遊んだことを思い出します。そうするとまた抜けなくなってしまうのです、、、。(2015年冬詠)

石仏の朽ちし花筒竜の玉

何とも美しい青い玉を、子どもの頃は「くす玉」と呼んでいました。細い竹で鉄砲を作り、その弾として使っていましたが、大きさが均一で、青い表皮の下は白くて硬い球状で、鉄砲の弾には最適でした。それにたくさん採っても、ポケットに入れても、決して汚れることがないのが良かった。俳句を始めて「竜の玉」の名前を知ったが、すぐに納得できました。これほど最適な名前はないでしょう。(2000年冬詠)