節くれの指より漏るる蛍の火

私の生家は庭まで蛍が飛んで来るようなところにあったが、中学生の頃に異常に蛍の多い年があり、無数の蛍が川の形の光の帯となって川を上り下りする、夢のような光景を見たことがある。すでに投稿少年だった私はそのことを文章に書いて、中学生文芸という雑誌に投稿した。さらにその文章を読んだ国語の先生から県の作文コンクールに出せと言われて、また書き直した記憶がある。だから、光景は現実で、夢ではなかったはずなのだが、最近では自分でもわからなくなってきた。二度と見ることは無いであろうし、夢の中の光景であっても構わない、蛍の川。句とは関係ない蛍の想い出でした。(2002年夏詠)