挨拶の慣れぬ事なり秋暑し

もともと口が達者なほうではないが、それでも会社勤めをしていた頃はそれなりに臨機応変に対応できていたように思うのです。それがどうも、退職してからと言うもの、、、。で、明日の句に続きます、、、。(2015年秋詠)

海岸の一夜波音星月夜

夕方のテレビの中継でキャンプ場の波音が聞こえて来た。ああ、そう言えば昔、ちょうどこんな波音を聞きながらキャンプしたなあと、学生時代の自転車旅行の途中で一泊した山口県光市のキャンプ場を思い出した。ふと画面に目をやると、海岸線の風景もなんだか懐かしい感じがして目を離せないでいたら、しばらくしてテロップに山口県光市の文字が流れて来た。なんだか不思議な気がした、、、。(2014年秋詠)

洗面器流され秋の川に出る

台風、秋雨前線と雨続きで川の水量が増えています。勢いもいい。幸いに被害が出るほどではありませんので安心して眺めています。掲句は一昨年、増水した川を流れる洗面器です。たいていは途中でひっくり返るものですが、流れ始めて間がないのか、うまいこと上を向いてどんぶらこどんぶらこ、、、。(2014年秋詠)

腑分け図を見て来し後の秋気かな

津山の城東地区に洋学資料館があります。昨年そこの企画展で江戸時代後期に津山で行われていた罪人の死体を使った腑分け図の展示があるというので怖いもの見たさもあって見に行きました。その後で詠んだ句です。迫力がありました、、、。(2015年秋詠)

秋驟雨梁に雀が羽ふるふ

いきなり降り出した雨を部屋の中から眺めていると雀が一羽飛んできた。雀は部屋の前のカーポートの梁にとまり、ちょうど映画のシーンで人間が雨宿りに入った軒先で、「いやあまいった、ひどい降りだなあ」と雨を見ながら手で濡れた着物の雨水を振るう場面のように、雨を見ながら羽を振るって手入れを始めた。全くこちらに気づいていないその仕草が自然で面白かった、、、。(2015年秋詠)

老人と話して秋の蚊に刺され

吟行途中で話しかけられ、しばらく逃げられずにいるうちに蚊に刺され、あちこち痒くなってきたときの句です。お年寄りの話は出来るだけ聞いてあげるようにしていますが、この時ばかりは途中で、、、。(2015年秋詠)