2011年の夏だから、たぶん会社で詠んだ句だろう、、、。(2011年夏詠)
カテゴリー: 2011
垂直にビルの空あり夏つばめ
街には街の、田舎には田舎の燕が夏を謳歌している。考えてみれば燕はずいぶん適応性にすぐれた鳥だ。田舎の農家の静かな納屋の中でも、一晩中明かりの点った賑やかな都会の駅舎でも、平気で子育てをしている。燕は秋には南に渡り、また翌年戻って来るというが、都会で生まれた燕は同じ都会へ戻って来るのだろうか、、、。(2011年夏詠)
地に低く猫の目のぞく木下闇
下津井、祇園神社での句。港町らしく神社の境内には猫が多かった。境内の外れの茂みの暗がりの中からも黒猫の緑の眸が二つ、、、。(2011年夏詠)
池の辺の風にまどろみ夏あざみ
作楽神社の奥まったところにある古池、昔は池なのか沼なのかと思ったが、最近は少しきれいになって睡蓮も咲いている。魚はいないようだが、牛蛙は鳴いている。時々飛び込む音がするが、大き過ぎて”古池や、、、”とは言いがたい、、、。(2011年夏詠)
静もりし植田の空の深曇
田圃が一年の中で一番美しいのは田植が終わった後の数日間ではないでしょうか。ひと時にぎやかだったトラクターや田植え機の音が止み、澄んだ水に空が映っている、、、。(2011年夏詠)
戸袋が一番好きな雨蛙
我家の雨蛙くんは雨戸の戸袋がお気に入りのようだ。それにしても、毎年毎年いるということはつまり、代が替わっても延々と引き継いでいるということなのだろうか、、、?(2011年夏詠)
マンションの満室御礼春の果て
こんな句があった、、、。長い間同じ道を通って会社へ通ったが、その間にも途中の風景はずいぶん変わった。田圃の畦道のようだった道が舗装され、広くなった途端に家が建ち始めたのもずいぶん前だった。それでも長い間その周辺には田圃が残り、水音や蛙の声が聞こえたが、作られる方が年老いたからか、あるいはブームなのか、次々にマンションが建ち始めた。TVで目にする会社の幟がいくつも風に揺れていたが、なかなか埋まっていく気配はなく何年かが過ぎ、掲句の日が来た。通りかかると、真新しい満室御礼の看板が、、、。(2011年春詠)
鳥除けのCD光る松の芯
サラリーマン時代のことですが、会社の倉庫の中に鳩が何羽も住み着き、何年も糞害に悩まされた事がありました。網を張ったり、CDをぶら下げたり、いろいろな対策をしましたが、安普請の倉庫にはいくらでも隙間があってどうにもなりませんでした。そんな諦めかけていた頃のことです。これまた嫌われ者の鴉が近くの桜の古木に巣をかけたのです。するとなんと、途端に居座っていた鳩が引っ越して行ったのです。災い転じて福となるとはこの事か、鴉もごみを運んだりしますが倉庫の中までは入りませんので、、、。掲句は事務所の窓の外の木に下げたCD、風が吹くと反射光が事務所を駆け巡り不評だった、、、。(2011年春詠)
確かむる風の方角初つばめ
帰る鳥もあれば来る鳥もある。去年の俳句手帖を見ると、三月二十七日に初燕の記録がある。昔より早くなっているような気がするが、俳句を始めるまでは初燕なんて意識したことは無かったのだから、何とも言えないことではある、、、。(2011年春詠)
高階の体操教室鳥曇
高階でも体操教室でもない我家の二階でプールへ行く前のストレッチをする。と言うほどではないが、あちこち身体を動かしておかないと後で微妙な影響が出てくることがある。いつもではないのが厄介で、油断して横着をすると出てくる。昔はこんなことはなかった。何をするにもぶっつけ本番ですんだが、やっぱり年齢には勝てない、、、。(2011年春詠)