少し重い句で夏に入ってしまいました、、、。(2013年夏詠)
カテゴリー: 2013
雀の子虫に遊ばれゐたりけり
朝の散歩をしていると、突然子雀が舞い降りた。見ると大きな虫を咥えているが、どうやら上手く咥えられなくて降りてきたものらしい。まだ生きている虫も必死で動いている。なかなか面白い攻防で、しばらく足を止めて眺めたが、そのうち咥えどころが良かったと見えて、子雀は飛び立って行った、、、。(2013年春詠)
降り止めば蘂も降り止む暮春かな
消費税の値上げで郵便料金が上がり、はがきの切手代が52円になった。俳句雑誌の投句はがきに、買い置きしてある50円切手を一枚貼って、あと2円を探したが見つからず、やむを得ず近所の郵便局へ出かけた。男性の局長に女性局員二人の小さな郵便局が繁盛していた。窓口ではがきと2円を出すと「あ、切手ですね、貼って出しときましょうか?」「ええ、お願いします」「領収書は?」「要りません」私の声に気づいた顔見知りの局長がこちらを見てペコリと頭を下げた。私もペコリ、忙しそうなのでそのまま帰った。それだけの事なのだが、あの美人の女性局員も私のように、ベロリと舐めて切手を貼ったのだろうか、、、?(2013年春詠)
玄関を開けて遊ぶ子五月来る
五月になりました。会社勤めの頃は五月の連休が楽しみでした。職を辞して毎日が休みになってみれば、別にどうって事はないなあ、、、。掲句、休日のちょっと遅めの散歩で見かけた風景、玄関先で遊ぶ子を見ることも少なくなったなあ、、、。(2013年春詠)
蛙出てたちまち雨を告げはじむ
いきなり鳴きだして、「おっ!蛙だ!」と思うだけで、本当はもっと前に冬眠から起き出しているのだろう。何はともあれ、そろそろ草刈を始めなければと鎌を研いでいると、「ここに居るぞ」とばかりに大きな声がする。蛙が鳴くと雨とは言うが、当たるも八卦当たらぬも八卦、ぐらいが楽しい。ヤン坊マー坊の天気予報は終わってしまったが、こちらはいつまでも続くだろう、、、。(2013年春詠)
春の空鳶の翼の日に透けて
河原を歩いていると、いきなり大きな鳥の影が目の前を過ぎって驚かされることがある。見上げると意外な近さに翼を広げた鳶の姿があり、じろりと睨まれたりする、、、。(2013年春詠)
芝青む人の通はぬところより
書こうと思っているうちに芝青むの時季は過ぎてしまいましたが、芝って強いですね。踏まれても踏まれても、アスファルトの舗装の下になっても、やがてアスファルトを割って芽を出してくるのですから、、、。(2013年春詠)
新社員足に慣れないハイヒール
普段の暮らしの中でスーツ姿の女性といえば、図々しくやってくる薹の立ったセールスレディーぐらいのものだから、たまに行った岡山の街中でいかにも新入社員と言った感じのスーツ姿の女性を見るとすごく新鮮な印象を受ける。慣れないハイヒールのぎこちない、それでも颯爽と前を向いて進む姿には、思わず「がんばれ!」と言いたくなってくる、、、。(2013年春詠)
つばくらや窓広々と外厠
厠の話で恐縮です。まだ新しい某施設に併設されたトイレ、窓に向かって並んだ男性用の上部が一面のガラス張りでした。燕の舞う青空を見ながらのひと時、男冥利につきるなあ、、、。(2013年春詠)
町中のミニコンサート鳥の恋
西川緑道公園を抜けて句会へ行くと、途中の広場でオカリナのコンサートに出くわす事がある。一度アンケートを求められた市の職員の方に聞いたら公民館活動の一環との事だった。お揃いの服で寒いときも暑いときも活動されている。掲句は、おかげで何句か拾った中の一句、鳥は自分たちの事に夢中で、コンサートには興味が無いようだ、、、。(2013年春詠)