七夕や音なく滑る月の舟

地理的に言うと私の生家は、星の里美星町から山ひとつ越えたところにあります。同じように星のきれいなところです。縁台に寝転んで夏の夜空を見ていると、幾つも幾つも流れ星が見えます。天の川は山上から山上へ、ゆったりと流れています。そんなところで少年期を過ごしましたから、何度も星空の夢を見ました。それも、星空のかなたから何艘もの船が現れたり、夜空に光で文字が書かれていたりする、総天然色の突拍子もない夢でした。その同じ夢をくり返し見るのです。さすがに今は見ることが無くなりましたが、時にはこんな句も作ってみたくなるのです。(2011年夏詠)