廃屋となっている大きなお屋敷、路地を入ると道路沿いに塀が続き、奥まった所にこじんまりと門がある。と思いきや、「○○勝手口」と書かれた木札がかかっている。とすれば大きな勝手口。勝手口と建物との間には育ちすぎた南天がたわわに実をつけている。もうここから入るのは困難だろう。木枠の窓ガラスが見える。映る景色の屈折した光は明らかに古硝子だ。いったいどんな方のお屋敷だったのだろうといつも思う、、、。(2017年冬詠)
月: 2019年1月
大寒の日のうすうすと雲の上
大寒です、、、。(2016年冬詠)
待春の雨音傘に弾みけり
もうすぐ春と思えば雨音も、、、。(2017年春詠)
静けさに振子の刻む寒の時
我が家の掛時計はいまだに月に一度ゼンマイを巻くタイプです。大きな低い音で時を知らせます。振り子は一定のリズムで時を刻んでいきます。子供の頃もそうでした。古い大きな掛時計があり、病気がちだった私はその下に敷かれた布団の中でひたすら耐えていました。動くものと言えばその振り子だけで、いつの間にかそのリズムが頭の中にも刻まれて、今ではどこにいてもそのリズムが刻めるのです、、、。(2017年冬詠)
雪の夜の戻らぬ猫に灯を点す
昨年の冬に居候していた雄猫、正月が終わるとプイと出て行ってそれっきりでした。ちょうど雪の降る日でした。夜になっても帰って来ない猫を心配したものです。今年はまた違う猫が、、、。(2017年冬詠)
寒施行孤高つらぬく鳶一羽
「寒施行?そんなものいらないよ」と、冬空の点になりそうなほど高く輪を描くトンビ、、、。(2017年冬詠)
家一戸更地に変はり日脚伸ぶ
この地に住み着いた頃にはすでに空家だったから、かれこれ三十年以上は目にしてきたことになります。古い農家の大きなお屋敷です。とうとうその家の解体が始まり、なんだか寂しいような気がしていましたが、終わってみると残された大きな立木や広くなった跡地にに燦燦と日差が溢れて、、、。(2017年冬詠)
川凍る流れの形そのままに
去年は寒かったなあ、川まで凍っていたのだから。今年は寒いと言っても暖冬、何とかこの状態が続いてくれますように、、、。(2017年冬詠)
たつぷりと雪ありほのと明るき夜
あればあったで面倒な事もありますが、なければ恋しくなるのが雪、、、。(2017年冬詠)
冬耕のもう起きだしてゐる大地
と思っていたら(昨日の冬田の景)もう新しく耕されている田圃を見つけた。新鮮なような、懐かしいような土の匂い。春は近いぞ、と思う、、、。(2017年冬詠)