四月の終り、と共に平成の終り。昭和に生まれ、平成を越え、どうやら令和が見えるところまで来たようです。掲句は阿智神社の参道の石段、いつも鳥居の下から見上げて、「さあ上ろう」と覚悟を決めて上り始めます。ここを上ればだいたいその日の体調がわかります、、、。(2018年春詠)
月: 2019年4月
一面の金波銀波となる茅花
河川敷公園の芝生が長い年月の間に茅花に覆われてしまった。穂が出て一斉に風になびく様はきれいだが、歩きにくくてしょうがない。と思っていたら昨年の大水害で洗われ、多くの場所が瓦礫と砂に覆われてしまった。傷んだ芝生は張り替え、通路には土を入れて補修し、前よりきれいな公園になった。歩きやすくもなったが、どうやら一面の茅花は当分見られないようだ、、、。(2018年春詠)
老犬の休む日陰や著莪の花
もう著莪の花が咲き始めている。アヤメ科の花としては控えめな花、、、。(2018年春詠)
春深し散歩の猫に赤い紐
久し振りに出会った近所の猫を散歩させている高齢の女性、掲句を詠んだ去年は多少足が悪いのかなと思う程度だったが、今年見ると老人用の手押し車を押しての散歩に変わっていた。赤い紐をつけられた猫は相変らず元気そうで、どこ吹く風の様子、、、。(2018年春詠)
一息に燕越え行く杜の空
見事!青空の下で高い所を一息に越えて行く燕は見ていて気持ちが良い。飽かず眺められる。掲句は倉敷阿智神社、都会であれば杜がビルに変わり、同じような飛翔が見られるのだろうと、田舎暮らしの私は想像してみるのです、、、。(2018年春詠)
風車風を光として返す
とある家の門扉に差してあったプラスチック製の風車。程よい春風にキラキラと朝の光を反射しながら回っていた。昔は紙で作ったものだが、紙ではこうは行かない、、、。(2018年春詠)
蒲公英の一つに一つ小宇宙
先日、散歩の途中で小学生の男の子が話しかけてきました。「タンポポがきれいじゃなあ。タンポポには黄色と白があって、黄色は外国から来たタンポポなんじゃ。白色が日本のタンポポで、僕は白のほうが好きなんじゃけど、今はめったに無いんで。去年橋の所に一つだけ咲いとったから今日行ってみたらちょっと増えとった。うれしかった。きれいじゃったで。行ってみて。」どこの子か知らないけど、このまま育って欲しいものです、、、。(2018年春詠)
鉄人の逝くや暮春の涙雨
熱烈な野球ファンではありませんが、衣笠祥雄の名前は今も心に。今日が忌日、、、。(2018年春詠)
老いし眼の届かぬ高さ懸り藤
阿智神社の参道脇の高木の、そのまた上に藤の花が見えます。ずいぶん高いのです。眺めていると通りかかった二人連れの老人が「今年は藤が咲いとらんなあ」と言いながら上を眺めています。教えてあげようかと思ったのですが、それが、二人が眺めているのが、ちょうど私が眺めている藤の方向なのです。私が教える事を躊躇している間に二人は通り過ぎて行きました、、、。(2018年春詠)
林立の発電風車山笑ふ
もう二年近く、毎朝眼の運動をしています。そのせいか最近遠くの山が良く見えるのです。山上の鉄塔らしき物、建物らしき物を見つけて、何だろうと想像して楽しんでいます。掲句の山はもう少し近く、発電風車は良いのですが、いつのまにか周囲がはげ山に、、、。(2018年春詠)