欠伸して舌朱かりし烏の子

半分枯れかけた栗の木の上に見つけた烏の巣。見つけた時にはもうそこそこ大きくなった子烏が時々顔を見せていた。人間が来たら隠れるように教えられているのか、気づくと頭を隠してしまう。尻尾は出ている。こっちだって気づかないふりをして観察する。何日も観察するうちに油断したのかその子烏が欠伸をしたことがあった。その時にちらりと見えた舌は、朱色に近い赤だった、、、。(2021年夏詠)

掃除して読めぬ石文若楓

町内の溝掃除、ついでに町内唯一の史跡の掃除もします。史跡と言ってもほとんど訪れる人は無く、小さな丘に壊れかけた鉄柵と大きな石碑、そばに古い楓の木が一本あるだけです。碑文は全く読めません。そこそこきれいにすると後はその楓の下に座り、お駄賃のペットボトルを手にあれこれの話をして時間を過ごします。町内コミュニケーションの貴重な時間、楓の若葉がきれいです、、、。(2021年夏詠)

鍬うてば音の大きく若葉寒

立夏です。先日新聞のコラムに、予報では今年の夏は二年ぶりの全国的な猛暑だが毎年ひどく暑い気がしていたので二年ぶりがピンと来ない、と書いてあった。確かにそう思う。今年は春から暑かった。掲句は昨年、素人の農作業にはこれぐらいが良いですね、、、。(2021年夏詠)

始発より早き鳥声五月来る

始発で起きだしていろいろ済ませると散歩に出るのは八時過ぎになります。すでに太陽の昇っている時刻、今年は特に暑く感じます。そこでどうするか。始発より先に起き出せば全体的にスケジュール早まって、暑くならないうちに散歩に出られるのではないだろうか。なんてことをベッドの中でウトウト考えていると鳥の声が、、、。(2021年春詠)