ネッシーのやうに顔上げ池の蛇

ネッシーにはずいぶん夢を見させて貰いましたが、その夢はいとも簡単に崩れてしまいました。いやいや、世の中にはまだ不思議なことが残っているぞ、ナスカの地上絵、いつだったか網にかかった巨大生物の屍骸、、、と元少年は今も夢を夢見ているのです、、、。(2014年夏詠)

蝉の声アツシアツシと聞えけり

前にも書きましたが、県北にはクマゼミはいません。その代わりがアブラゼミです。クマゼミの声に比べるとるとアブラゼミの声なんて可愛いものです。掲句はクマゼミ、昨年夏の暑い倉敷吟行でした。クマゼミの声も、ついこんなふうに聞えてしまったのでした、、、。(2014年夏詠)

風迷ふほどに戸を開け夏館

先月の倉敷吟行のときに、初めて「大橋家住宅」を見学しました。見ごたえがありました。広い屋敷の部屋という部屋が開け放たれて、風鈴の音が心地よく響いていました。街の中にあってこれだけの風が通るなんて、日本家屋の極致ではないかとまで思いました。できれば部屋の中央でちょっと昼寝をしたかった、、、。先日までヘッダーに使っていた写真が、その大橋家の倉敷格子です。その時に書けばよかったのですが、記事のほうが遅れてしまいました、、、。今日は大暑、わが夏館もあちこち開け放っていますよ、、、。(2014年夏詠)

白南風や掃けば転がるだんご虫

家の周囲のコンクリート部分を掃除するとダンゴ虫が転がる。生きているものも転がるが、丸まったまま屍骸となったダンゴ虫もたくさん転がる。まるまって乾いて殻だけになっている。掃き集めたそれを見ていて、中学生の時に採集に行ったサンヨウチュウの化石を思い出した。石灰岩の表面を磨くと、ちょうど丸まったダンゴ虫が集まったような模様でサンヨウチュウが現われる。もしかしてダンゴ虫の祖先はサンヨウチュウなの?、と思って調べてみたが、そんな記述はどこにもなかった、、、。(2014年夏詠)

LEDライトに微熱熱帯夜

予定通りに梅雨が明けました、、、。朝涼の中に在る陶の椅子は見た目も涼しいですが、熱帯夜の中に在ればLEDライトだって熱が気になるものですね。実はLEDライトだって熱は持っています。特に家庭用の100V電源で使うLED電球、光っている部分はそうでもないですが、根元のほうには電子回路が入っているので、うっかり触ると火傷するぐらいの熱さになります(安物のLED電球だからかも知れません)。掲句、枕元のスタンドのLED電球からジワジワと襲ってくる熱気、読書もままならない、、、。(2014年夏詠)

朝涼や青き龍ゐる陶の椅子

どこから貰って来たものか、我家の庭に一つだけ陶椅子があります。丸い筒状の、安物であることは一目瞭然ですが、我家の庭にはちょうど良いぐらい。中国製かなあ、龍の絵も近くで見ればずいぶん安っぽい筆遣いですが、遠目で、木々の緑に囲まれているのを見れば、結構涼しく感じるものです、、、。(2014年夏詠)

声にして暑さ収まる訳もなく

昨日は台風一過の朝を予想していたら、あれっ(?)と思うぐらいの梅雨寒の朝でした。被害に遭われた地域の方々には心よりお見舞い申し上げます。岡山県は、まともに通過して行きましたが、その割に被害が少なかったですね。さすが晴れの国、ありがたいことです、、、。さて、天気予報では今日は暑くなりそう!熱中症にご用心。先日もテレビでしていましたが、年取って確かに皮膚感覚は鈍っています、、、。(2014年夏詠)

夏の空軍機並んて飛ぶことも

掲句は昨年の夏、大きい音に空を見上げると、明らかに軍機と思える機体が二機、低い位置をあっという間に西のほうへ飛んで行きました。普段この辺りを軍機が飛ぶことは無いのですぐ気づきます。ついこの間も、部屋の中に居たらそんな音が、、、。(2014年夏詠)

傘踊りほどに並びて梅雨茸

台風のさ中、お越しいただきましてありがとうございます、、、。二三日雨が続くと、何でもない道べりに茸が生えることがある。それも一度にきちんと並んで。まるで傘踊りの行列みたいだ、と思ったときの句です。さて、台風が過ぎればそろそろ梅雨明けでしょうか、、、?(2014年夏詠)

青田風捨田休田まんべんに

分け隔てなく吹いて、風はいいですね。おっと、台風は困ります、、、。河川敷の公園で階段の傍に自転車を止め、階段を上り下りしている人がいる。近所の人で個人的な付合いはないが、時々話しかけられて会話をする程度の人。年齢は私より少し上だが退職したのは同じ頃だった。見るからに元気が無い。挨拶の後で、「定年になって仕事を止めたら調子が悪りいなあ。あんたはどんななら?」と聞かれたので、相手に合わせれば良かったのだが、プールから帰ったばかりだったので、つい「快調!調子いいですよ!」と元気よく答えてしまった。ちょっとビックリした顔になって次の言葉が無かったので、慌ててプールのことを話して薦めたら、「定年を過ぎて、この歳になって、今更水に入ろうとは思わんなあ」との答が返ってきた。ホントは、「それがダメなんですよ!○×△□!」と言いたかったのだが、犬も待っているし早々にその場を離れた。振り向いたときには、自転車はもう自宅のほうへ向っていた、、、。(2014年夏詠)