堰越ゆる春水白き壁となり

近くにある堰です。吉井川の向こう岸まである大きな堰です。水量の多い時は水音がごうごうと遠くまで聞こえてきます。特に春先、雪解けの頃の堰は見ごたえがあります。見ていると引き込まれそうになります、、、。(2016年春詠)

花冷や屋根よりクレーンぬつと伸び

桜前線北上中です。とは言うものの、まだまだ寒い日がありますね。掲句は昨年ですが、先日の倉敷での句会の時に、アイビースクエアのメタセコイアの大木のそばにクレーンが伸びていました。メタセコイアよりも高く、見ごたえがありました、、、。(2016年春詠)

春の色重ねて野菜スープ清む

春の色ってどんな色だろうと歳時記を見ると、「春の風色をいう」と書いてあります。「風色をいう」、これがまた難しい。掲句、あきさ亭で出て来た野菜スープ。春風を受けてほどよい色に育った野菜だろう、さらにそれに時間をかけた丁寧な仕事が加わり、澄んだ野菜スープになる。美味、、、。(2016年春詠)

それぞれの過去へ未来へ春の夢

過去へ未来へ自由に行ければこんな楽しい事はないのだろうが、これがなかなか難しい。それに楽しい夢は目覚めると忘れていることが多い。それどころか、最近は夢を見る事さえ減ってしまったような気がする。それはともかく、眠るには良い季節になった、、、。(2016年春詠)

幼子の泣いて母追ふ土手の春

どちらかと言うと年寄は多いけど子供はいないところです。たぶん近くのお家へ帰省してきたお母さんとその子供でしょう。前を行くお母さんも余裕綽々、泣いている子もなんとなく甘え声、春の午後ならではでしょうか、、、。(2016年春詠)