鳥よけの網の濃紺枇杷熟るる

もう時効となっている(と思う)子どもの頃の事です。人里離れた山田の傍に一本の枇杷の木がありました。持ち主が誰だったのかいまだに知りませんが、そこに枇杷の木があることは子どもたちの間で代々引き継がれ、熟れる頃を見計らってはみんなで盗みに行きました。ほったらかしの枇杷の木で、種ばかり大きくて決して美味しくは無いのですが、スリルはありました。大人たちも知っていたはずなのに、一度も叱られたことが無いのが不思議ですね、、、。掲句の琵琶の木は、会社へ通った道から田圃一枚隔てたところにあります。近くに寄って見たことはありませんが、網をかけてあることから、出荷される立派な枇杷だろうと思います。(2000年夏詠)