犬猫の数も鯛焼買ひにけり

初詣に行く神社、毎年同じ二軒の鯛焼き屋の屋台が出ています。一方は長蛇の列、もう一方はいつも空っぽです。空っぽのほうで買えば早いのですが、長蛇の後についてしまいます。たぶん(たぶんですが)味はそんなに変わらないだろうと思いつつ、、、。(2018年新年詠)

年送る要らぬ物には蓋をして

毎年の事ですが、結局満足できるほどの掃除も出来ず、その辺にある物あれこれをダンボール箱に詰め込んで蓋をして終わりになります。年初に「今年こそ!」と思うのも年末に「まあいいか」と妥協するのも毎年の事、、、。よい年をお迎えください、、、。(2017年冬詠)

鳰浮いて慌てて走り出しにけり

川岸を歩いていると水の中からポコッと鳰が浮いて来た。鳰にしてみれば浮き上がった先に人間がいるなんて予想だにしなかった事だろう。目が合ったと思った瞬間に向きを変え、走るとも飛ぶとも言えない姿勢で水上を勢いよく一直線に向う岸へ逃げて行った、、、。(2017年冬詠)

クリスマスリース引戸の真ん中に

純和風の家の玄関引戸の真ん中にシンプルなクリスマスリース、いつも見かける四季折々の飾り付けの一つだが、上手いもんだ、いったいどんな方住まわれているのだろうと思いながら通る、、、。(2017年冬詠)

リモコンの声やさしくて冬深し

昨年の今頃でした。お風呂のボイラーが壊れ、寒波の中で数日間お風呂無し、お湯なし、最悪のクリスマスを過ごしました。幸い年末には新しいボイラーが間に合いましたが、ひねればお湯の出る生活を改めて有難く感じた数日でした。掲句はその新しいボイラーのリモコン、優しい女性の声で親切に教えてくれるのです。「熱いお湯が出ます」とか「お湯張りをします」とか「お風呂が沸きました」とかですが、つい「はいはい、わかりましたよ」なんて言いたくなるのです、、、。(2017年冬詠)