追い払うつもりはありませんが、窓の外の屋根の上があまりに賑やかなもんで、つい開けてみたくなるのです。開けると一斉に羽音と声がして、飛び去って行きます。後に残るのは暖かい秋の日差です。再び閉めておくと、また三々五々、声が増えて来ますが、そう何度も開けてみるようなことはいたしません、、、。(2013年秋詠)
投稿者: 牛二
秋時雨来るたび庭師車へと
あれ、もう北風だ、と思ったら「木枯一号」だったらしい。一転して今朝は澄んだ空に朝日が輝いている。風は無いが、ちょっと寒い。庭を見るとたくさんの落葉、とうぶんは日々の仕事に困らない、、、。掲句はまだ現役の頃、会社でお願いしていた植栽の管理、自分たちの車のほうが居心地が良いのだろう、雨が降り出すたびに車の中へ、、、。(2010年秋詠)
柿もぐや夕日冷たく手の中に
今年も西条柿は不作、三個だけが熟れています。少ないので吊るし柿にはなあ、と思いながら眺めているうちに、もう熟柿になりかけているような色です。富有柿のほうは今年は剪定のかいあって、数はほどほどに生っていますが、毛虫が多かったからでしょうか、出来はもう一つの感じです。まあ、どちらも主と同じで老木ですからねえ、、、。(2013年秋詠)
青青としてひつじ田でありにけり
昔はこうではなかっただろうと思うものの一つに収穫後の田圃がある。昔に比べると収穫時期が早まったからだろう、稲刈後の株から出た芽がこの時期までにずいぶん伸びて、ちょっとした青田のようになっている。中には既に穂が出ているところさえある。ひつじ田として歳時記に採録された頃は、おそらく弱弱しく伸びた芽が否が応でも寂寥感をさそう、晩秋の風景だったのだろうなあと思う、、、。(2013年秋詠)
連雀の木々を移れば声もまた
小鳥の名も知っているようで知らないことが多い。でもって歳時記に出ている小鳥からそれらしい連雀にしたが、ほんとうのところは分からない。昔、生垣の中に見つけた巣を雀のものと思って話していたら、野鳥の会の人がそれは鵙でしょうと教えてくれた。今ははっきり、鵙と雀は見分けられるが、、、。葉の落ちた桜並木にはいろいろな小鳥が来る。みんなでおしゃべりをするように鳴きながら木々を移って行く姿が愛らしい、、、。(2013年秋詠)
中天に残る眉月やや寒し
昨日に続きます。こちらは朝の散歩です、、、。(2013年秋詠)
晩秋のきりりと朝の厨口
寒くなってまいりました、、、。(2013年秋詠)
尉鶲ひそと来てをり背戸の藪
何を思ったか、ジョウビタキが一羽、玄関の前の梁の上で一冬を越したことがある。昼間はどこかへ出かけて、夜になると戻ってきた。最初はどうして玄関前に鳥の糞があるのか分からず、首を傾げてばかりいたが、ある夜ふと見上げた梁からお尻が覗いていた。こちらが気づいているのを知っているのか、知らないのか、ひたすら動かないでお尻を出していた。じっくりと観察した結論は大きさとお腹の色からジョウビタキだった。春になると戻ってこなくなった。翌年また戻ってくるかと楽しみにしていたが、結局戻っては来なかった。裏の藪にジョウビタキはしょっちゅう姿を見せてくれるが、同じ鳥かどうかは分からない、、、。(2013年秋詠)
門川に音暮れ残る芋水車
夕暮の門川に何やらコトコトコトコト音がする。近寄って見ると、ひと目で手作りと分かる真新しい芋水車が回っていた、、、。幼かった頃に、父がどこかで見てきたのだろう、自分で手作りをして家の前の小川で回していた。得意そうに見せてくれた水車の中には、洗いあがった里芋が真っ白に光っていた。しばらくは使っていた記憶があるが、壊れたのかいつの間にか見かけなくなった。二台目を作るほどは興味がなかったのかも知れない、、、。(2013年秋詠)
深秋の気付けば日差懐かしく
ついこの間まで、日陰ばかりを探していたのに、もう日差が恋しい季節になりました。日差の中に居ると、なんだか懐かしいような気がします。何なんでしょう、この懐かしさは、、、。(2013年秋詠)