青柿の音して落つる背戸の闇

青柿の落ちるシーズンです。夜の闇の中で突然音がします。音の後から青柿の落ちた音と気づくまでの僅かの時間ですがビックリします。たくさん生ってたくさん落ちて、程よい数の収穫が出来ればよいのですが、、、。(2020年夏詠)

濁川洗ふ水辺の合歓の花

七月です。梅雨最中、合歓の花がきれいです。先日書いたのとは違う合歓の木です。かつては愛犬と、今は一人の散歩の終点にあります。井堰があって、この時季は水量豊かで水が轟音を立てて流れ落ちて行きます。その傍に水面に枝を映すように張り出している合歓の木、花の色と濁った水の対比に心惹かれます、、、。(2020年夏詠)

水音を辿りて歩く植田縁

僅か一か月ほどですが稲は青々と育って、もう植田から青田へと移る季節になりました。田圃沿いの用水路からは軽やかな水音が聞こえてきます。同じ用水路に作られた堰から聞える水音ですがそれぞれの田圃で違った音がします。楽しい季節です、、、。(2020年夏詠)

ナイターの声と輪転機の音と

昔、徒歩通勤をしていた頃、残業が終わって帰る途中に小さな町工場があった。夏になると開け放った窓からラヂオのナイター中継の興奮した声と一定のリズムを刻む機械の音が一緒になって聞こえて来た。どんな仕事をされているのだろうと気になったが覗いた事はない、、、。(2020年夏詠)

荒梅雨や大蛇のごとく濁川

大川の川幅を埋めて音を立てて流れる濁った水を見ると八岐大蛇を思います。流れて行く水の動きが同じ姿勢のまま進んで行く蛇の動きにそっくりだと思うのです。出雲神話に素戔嗚尊が八岐大蛇を退治する話がありますが、もしかしたら素戔嗚尊は治水工事にたけた人で、毎年毎年洪水が襲ってくる川をうまく治めた人だったのかも知れないと思ったりするのです、、、。(2020年夏詠)