眠り行く落葉大地の色となり

夕方見ると綺麗だった落葉が翌朝掃こうとする頃にはもう色が変化している。落ちた瞬間から湿度や温度の関係で変化が進んで行くのだろうか。あるいは土中のバクテリアの影響なのかも知れない、二三日忘れた所を掃くと下のほうは大地の色に近くなっている、、、。(2015年冬詠)

白菊や黄菊や朝の路地ぬける

隣家の軒下に菊が数鉢並んでいます。今年は作られていないのかと思っていたのですが、ここに来て中程度の大きさのそろった白と黄の数鉢が並んでいます。作者のきちんとした性格が表われているような菊です。掲句は昔、徒歩通勤途中の路地に面したお宅の横を抜ける時の句です。こちらは寄せ植えの小さな白と黄、赤ら顔のおじいさんの花畑、、、。(2002年秋詠)

散歩にもハーフとショート時雨くる

ぐるりと回って戻ってくる同じ一つの散歩コースなのですが、いくつかの脇道があって場合によって選ぶようにしています。最短は500mほどのショートコース、家を出たものの雨が降り出し傘が無い場合はこのコースです。半ば走って回ります。1.5kmほどのハーフコース、空を見ながら雨がそろそろ来そうだと思う場合、あるいは降り出して傘がある場合のコースです。フルコースは3.5kmほどでしょうか、これが一番多い普通のコースです。問題はこの季節、降らないと思ってこのコースを選んだのに、時雨は突然に、、、。(2015年冬詠)

高々と皇帝ダリア冬の月

旧暦10月15日、満月です。掲句は昨年、高々と咲いた皇帝ダリアに冴え冴えとした冬の月がかかっています。岡山県北の冬は早く、自然のままで皇帝ダリアが咲くことは少ないのです。咲いても寒さに当たるとすぐに枯れてしまいます。昨年はまだ暖かかったのでしょう、こんな句を残していました、、、。(2015年冬詠)

置物のやうに猫ゐる菊日和

古い句です。先日車で走っていて同じような光景がありました。農家の庭先に畑があり、ご夫婦でしょう、農作業中です。道路から家まで緩やかな坂道が続いています。その道路際に置かれた農作業用の車の上に、チョコンと猫が座っているのです。まるで農作業の終わるのを待つように、、、。(2002年秋詠)