僅か一か月ほどですが稲は青々と育って、もう植田から青田へと移る季節になりました。田圃沿いの用水路からは軽やかな水音が聞こえてきます。同じ用水路に作られた堰から聞える水音ですがそれぞれの田圃で違った音がします。楽しい季節です、、、。(2020年夏詠)
月: 2021年6月
通りゆく傘の遅速や梅雨の窓
梅雨らしい日々が続きますね。掲句は昨年、倉敷美観地区のあきさ亭での句会。雨の格子窓の外を行き来する傘、、、。(2020年夏詠)
凌霄の歩道に零れ三つ四つ
高い塀の上からはみ出して見える凌霄葛、密の状態で花をつけています。朝に掃除されその後に散ったのでしょう、歩道にも数個、、、。(2020年夏詠)
晴れし空戴き合歓の花少し
今年も合歓の花が咲き始めました。掲句は道路脇の建設資材置場の隅に生えて来たまだ若い合歓の木。背は私より高くなりましたがまだ花は少しだけ、、、。(2020年夏詠)
ナイターの声と輪転機の音と
昔、徒歩通勤をしていた頃、残業が終わって帰る途中に小さな町工場があった。夏になると開け放った窓からラヂオのナイター中継の興奮した声と一定のリズムを刻む機械の音が一緒になって聞こえて来た。どんな仕事をされているのだろうと気になったが覗いた事はない、、、。(2020年夏詠)
荒梅雨や大蛇のごとく濁川
大川の川幅を埋めて音を立てて流れる濁った水を見ると八岐大蛇を思います。流れて行く水の動きが同じ姿勢のまま進んで行く蛇の動きにそっくりだと思うのです。出雲神話に素戔嗚尊が八岐大蛇を退治する話がありますが、もしかしたら素戔嗚尊は治水工事にたけた人で、毎年毎年洪水が襲ってくる川をうまく治めた人だったのかも知れないと思ったりするのです、、、。(2020年夏詠)
飛石の雨に色濃し沙羅の花
別名夏椿、咲いてもその日のうちに落ちてしまう一日花だそうです。掲句はあじさい寺の沙羅の花、、、。(2020年夏詠)
連れ歩く影まで暑きアスファルト
まだ六月だというのに、晴れた日の暑さは格別です。自分の影ですが焼けたアスファルトの上で暑そうです、、、。(2020年夏詠)
無防備に脱ぎし一枚蛇の衣
良いのか悪いのか、最近蛇を見かける事が少なくなりました。と同時に蛇の衣を見る事も。掲句は昨年の河原で。まだ新しい脱ぎっぱなしの蛇の衣、、、。(2020年夏詠)
天辺の花が咲いたよ立葵
きょうは夏至です。近所の立葵が天辺まで咲いています。立葵が天辺まで咲くと梅雨が上がると言いますが、どうやら今年は外れのようです、、、。(2020年夏詠)