恋猫も恋の乙女も澄ましけり

西川緑道公園の一角に野良猫(と思われる)の多い所があります。先頭を澄まして行くのが雌猫でしょう。その後をつかず離れず追いかけて行くのが二匹の雄、気を引こうとしているのに、雌のほうは知らん顔で橋を渡って行きました。そのまま目を移した横の通りを若いカップルが、、、。(2015年春詠)

淡雪の旅の果なる地表かな

落ちては消え、落ちては消え、落ちては消え、落ちては消え、といつまでたっても積もらない春の雪を見ていた時の句です、、、。ちょうど昨日の雪、と言ってもこの岡山県北での話になります。昨日は雪から雨に、止んだ頃を見計らって散歩に出ましたが、軟らかい土の上は少しだけ白くなっていました。そのうち突然差してきた日差は春のもの、さらに自宅近辺まで戻って来ると再び雨が、と、忙しない天候ではありました、、、。(2015年春詠)

名前のみ残る城跡迎春花

黄梅(オウバイ)です。黄梅と書きますが実はジャスミン科だそうです。つる性です。中国名が迎春花、いい名前ですね、、、。この近くにも城跡があって、私の現住所の古い地名は「字小門」と言います。たぶんお城へ通じる道筋で小さな門があったところなのでしょう。城跡は小高い丘の畑の側に近年建てられた「構ノ城跡」と書かれた石柱があるだけです、、、。(2015年春詠)

犬ふぐり最初の一つ見つけたし

昨年の俳句手帖を見ると2月6日にこんな句を書いています。その数日後に見つけた句がありますが、残念、最初の一つではなかったですね。一つ見つければ周囲には次から次に見つかるのです。どうやら日差があれば咲いて、日差の無い日は花を閉じているようです。夕方も日が傾きかけると早々と花を閉じます。実は今年も日差があり暖かかった2月2日に見つけてしまったのです。今年もそろそろと書こうと思っていたのですが、昨日の散歩中には普通にいくつも、、、。(2015年春詠)

浅春の空気吸ひ込む鯉の口

プールで会う方に引退された元建材店の社長さんが居られます。一見ごく普通の腰の低い穏やかな方ですが、実は元空手教会のえらいさんだった方でもあります。いつも水中ウォーキングをされています。この方に限りませんが、隣のコースをクロールで泳いでいると、横を向いた時にちょうど歩いている方の水中の姿勢が眼に入ります。この元社長さん、他の方と一緒の時は話をしながらゆっくり歩かれていますが、一人の時は必ず空手の正拳突きをしながら歩かれているのです。それも姿勢よく、力強く、、、。(2015年春詠)

まず犬のポーズ一回春立てり

春です~。「さあ出かけるよ」と犬を呼べば必ず一回ゆっくりと伸びをします。これがヨガでは犬のポーズ、確かに気持ちよくて身体の節々が伸びる気がします。犬があれば猫もある。猫のポーズに死体のポーズなんてのもあるそうですが、昔はヨガと言えば髭を生やしたやせ細った老人が極端に軟らかい身体を見せるものだと思っていましたが、ずいぶん認識が変わりましたね。「笑いヨガ」なんてのもあります、、、。掲句、昨年の立春の愛犬もみじの散歩前の犬のポーズです、、、。(2015年春詠)

オカリナの止めばのどけし昼の鐘

オカリナの合奏が終わったときに、偶然どこからかお昼の鐘が聞えてきた、という岡山西川緑公園の街角コンサートでの句です。子供の頃の田舎には各家に有線放送の設備があって、決まった時間になるとラジオの番組が流れてきました。代表的なのが日曜日のお昼のNHKのど自慢で、その鉦の音は今でも耳に残っているような気がします。それも合格の鉦ではなく、二つとか三つ鳴るときの絶妙の間合いは、最高だったなあ、、、。(2013年春詠)