一人の人間の目の及ぶ範囲なんて知れていて、知らないところで着々と季節は進んでいきます。枯芝もそうです。よく見るといつの間にか枯色の中に緑が混じるようになっているのです。掲句は津山文化センターのホール前の芝生にある西東三鬼の句碑です、、、。(2003年冬詠)
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冬ぬくし身ぶりで電話する女
寒い日が続いていますのでこんな句を、、、。携帯電話の発達に伴って増えた光景です。あまり人のことは言えないかも知れません。人ごみの中でもついつい大きな声になってしまうことがあります、、、。(2015年冬詠)
雪の夜時の止りしごと眠る
雪の夜は静かでよく眠れます。昔危うく会社に遅れそうな時間に目覚めたことがありました。慌てて起きだして外を見ると大雪、目覚まし時計替わりの電車が不通になっていたのでした、、、。(2015年冬詠)
風に耳澄ませて育つ冬芽かな
少しずつ、少しずつです。と思っている間に季節は過ぎて行きます。冬の間の庭木の手入れもそろそろ終わりにしなければいけない時期ですが、このところの寒波で、中途半端なまま、、、。(2015年冬詠)
寒雲に入りし機影を音が追ふ
大寒です。天気予報ではまた寒波が来るとの事です。大寒らしいと言えばらしいのですが、先日の雪がまだ残っています。雪も重なると心の負担になって来ますね。早く暖かくならないかなあ、、、。(2015年冬詠)
花売の老婆の放つ大くさめ
街中の行きつけだった散髪屋に決まって声をかける花売りの老婆があった。鏡に映る風景の中に花を満載したリヤカーを引く老婆が現れる。見ていると店の前でリヤカーを止め、表戸をちょっとだけ開けて御用聞きをする。空いている女の子が出て行って何らかの花を抱えて戻ってくる。これがいつも繰り返される鏡の中の風景だったが、この日は違っていた。リヤカーを止めると同時に老婆が店の中まで聞こえる大きなクシャミをしたのだ。それで気づいた女の子が慌てて出て行った。あとはまたいつもの風景が戻ったのだが、それだけで何だか楽しい一日になった、、、。(2003年冬詠)
霜晴の一直線の寒さかな
なんで一直線なのかと言うと説明できないのですが、、、。(2003年冬詠)
火襷の備前平鉢雪起し
いやあ、降りましたね。県北(の平野部)は久しぶりの大雪になりました。寒波もすぐには抜けないようなので、しばらくは湿った日々が続きます、、、。掲句も古い句で、雷も記憶に残らないような、たぶん可愛いものだったのでしょう。ですが、冬の雷は落ちると怖いそうですよ。家じゅうの電化製品が壊れたと聞いたことがあります、、、。(2003年冬詠)
ため息の炬燵守とぞなりにけり
雪の後は乾くのが遅くて嫌ですね。これが苦手なんです。外でやりたい事は山ほどあるのですが、どうにもならない。ついつい炬燵のお守、ということです、、、。(2015年冬詠)
チェンソーの音は冬木の悲鳴とも
町中に住んでいるとチェンソーの音と言われてもピンと来ないでしょうね。もちろん田舎に住んでいても日常的に聞こえる音ではありません。掲句はたまたま散歩の途中で川向うの山の奥から聞こえて来たチェンソーの音です。ちょうど悲鳴を機械音に変換したような音、と言っても、、、。(2015年冬詠)