亀涼し首だけ出して水の中

亀は甲羅干しをするものと思っていたら、石に足をかけて首だけが水の上、甲羅は水の中に浸かっている。まあこれだけ暑ければ、石の上では甲羅の中で蒸し焼きにならないとも限らない。脱ぐわけにもいかず、、、。(2021年夏詠)

炎昼の追ひ越してゆく陸上部

倉敷阿知神社の参道はトレーニングにちょうど良いのか時々高校生の集団に出会います。この時は後から来て追い越していった陸上部らしい一団です。さすがに元気で速い。次々に挨拶をしては追い越して行きます。挨拶を返すのが大変です、、、。(2021年夏詠)

山百合の一輪清し杉木立

学生時代の夏休みに自転車で中国地方を回った事があります。その時、確か萩から山陽へ抜ける山道だったと思いますが、大きな杉の林の中に一輪だけ咲く山百合の白い花が見えました。汗をかきながらペダルを踏んでいた時ですが、急に汗が引いて疲れが吹き飛ぶような感覚になりました。今は昔の古いお話です、、、。(2021年夏詠)

全身に力蝮を打つ漢

朝の道に轢死の蝮の子が一匹、草原要注意の季節です。掲句は以前見た景を思い出して詠んだ句です。知り合いの農家の男性が畦道で大きな棒を何度も振り下ろす姿、遠くから見ても分かるその全身の力の入れよう、すぐに蝮と直感できました。後で聞くと確かにその通りでした、、、。(2021年夏詠)