とある寺の、薄暗いお堂の中の阿弥陀仏、よく見ると上げた右手の木製の人差し指の先が小さく欠けている。お寺も、お堂も、仏様も古い。空家の目立つ村の寺では、なかなか修復ともいかないのだろう。お顔のやさしさが心にしみる、、、。(2016年春詠)
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風の波茅花の波となつて来し
川土手の斜面が一面茅花に覆われている。その下の河川敷が散歩コースになる。風が吹くとその風が、茅花の靡く波となってこちらに近づいて来る。何んとも心地よい季節、、、。(2016年春詠)
グランドの野球少年雀の子
ただっ広いグランドの向うの隅で少年野球の練習が続いている。絶え間なく続く少年たちの声、それに時たまコーチの大きな声が混じる。こちらは外野の、フェンスの外。フェンス際では雀が、こちらも賑やか、、、。(2016年春詠)
春光に軟体動物這ひし跡
言わずと知れた、ナ、メ、ク、ジ、それも巨大、、、。(2016年春詠)
法然の真筆やさし春燈下
誕生寺の宝物殿に見つけた法然上人の書、真筆とのこと。優しい字が並ぶ、が読めない、、、。(2016年春詠)
千年の齢の藤や根の若し
散歩に行く河川敷の水際に自生している山藤が花をつけ始めました。むせるような濃い匂いが漂っています。水際で登るところがないので地を這っているのが少しかわいそうですが、強いものですね、、、。掲句の藤は倉敷阿智神社の藤、本当は千年も経っていないそうです、、、。(2016年春詠)
花蘇芳一枝百とも二百とも
今を盛りと花蘇芳が咲いている。桜の花の後で余計にその色が目立つ。いったい一枝にいくつ花が付いているのだろうと思った時の句。成長が早い、、、。(2014年春詠)
夜半の春ティッシュ栞に句集閉ず
最近すぐに眠くなって読書が進まない。かと言って朝までぐっすりとはいかず、早くから目覚めて鳥の声を聴いたりしている、、、。(2014年春詠)
生垣にざうり干されて暮の春
そろそろ生垣の剪定に入らねばと思いつつ日々が過ぎて行きます。それはさておき、生垣は履物を干すのにちょうど良い。特にゾウリは座りが良い。掲句、通りがかりに見た近所の生垣、、、。(2014年春詠)
花種の袋を持てば風の音
昔毎年メーデーの頃に組合から花の種が配られていた事がありました。たいそうな花ではありませんが、袋には鮮やかなカラーで咲いた花の絵が描かれ、持てばサラサラと乾いた音が聞こえます。見た目とその音で選んだ種が、実際に咲いたのかは記憶に無いのです、、、。(1999年春詠)