近くの土手の桜並木は土地に水分が少ないのか落葉が早い。すでに桜紅葉の時期は終り、落葉も残り僅少と言った風情になっている。その真っすぐな長い桜並木が途切れる辺りが風の通り道になっていて、木の葉も蝶も風に乗って舞うように横切ってゆく。遠目に見るとどちらも生き物のようで見分けがつかない、、、。(2019年秋詠)
気持よく伸ばす足腰小六月
早いですね、もう十一月です。天気の良い日は身体を伸ばして、、、。(2019年冬詠)
秋灯に人無し「商い中」の札
通りがかりに覗いた某個人商店、留守の事が多い、、、。(2019年秋詠)
人さけて裏へ裏へと秋の路地
まるで今年のコロナ禍を予言するかのような昨年の秋に詠んだ句です、、、。(2019年秋詠)
黒豹となれぬ黒猫後の月
十三夜、後の月です。月が見えますように、、、。(2019年秋詠)
靴の紐直す道端草紅葉
靴の紐を結び直して、ふと目を移すと、、、。(2019年秋詠)
噛みしむる奥歯に力朝寒し
しまった!もう一枚着て来るんだったと後悔する朝の散歩、、、。(2019年秋詠)
鳥の来て木の実転がす屋根の上
庭の大きくなった辛夷や花水木の枝がカーポートの屋根の上に張り出している。その枝の木の実を食べに鳥がやって来る。零した木の実が屋根の波板に落ちて大きな音がする。今度はその落ちた実を食べに屋根の上を歩くと、これまた大きな音がする。多いのは鵯、それに鳩、最近はどういう訳か屋根の上が気に入った猫がこれに加わり賑やかな事この上ない、、、。(2019年秋詠)
十月のはや懐かしき日差かな
もう木枯一号が吹いたとか。急激に冬が近づいてきますね、、、。(2019年秋詠)
間延びして深山の鴉霧晴るる
どうやら朝霧の季節に入ったようだが、それでもまだ真冬ほどではなく八時頃になると晴れて来る。途端に気温が上昇し、散歩も歩きやすくなる。山の烏の声にもまだ冬の厳しさはなく、鳴き合う声に余裕が感じられる、、、。(2019年秋詠)