秋の夕空を鴉の群が帰って行く。なんと日本的な光景なんだろうと思う、、、。鴉は帰るというその行為では纏まっているのだが、実は群としては鳩や鴨のような纏まりは見られない。それぞれが自由気儘に飛んでいる。それも何だか面白い、、、。(2017年秋詠)
こほろぎの声の艶増す朝の雨
長く続いた旱の後の一雨、自然はすぐに反応する。降り続く雨は考え物だが、、、。(2017年秋詠)
秋の夜の一声響く遠汽笛
秋の夜に遠くから聞えて来る汽笛はどことなく哀愁をさそう。それは昔の蒸気機関車の低い音も今のディーゼルや電気機関車の甲高い音も同じ。ようするに聞く側の人間の心のあり様なのだろう、、、。(2017年秋詠)
声高の観光ガイド秋高し
一人ぐらい増えても分かりはしないだろうと、ガイドさんに連れられた一団の後にくっついて観光地を見て回る。これが結構面白いのですが、最近は外国の方の集団が多くて、、、。(2017年秋詠)
目を瞑りゐても故郷曼殊沙華
目を瞑れば昔日の、目を開ければ現実の、曼殊沙華咲く、故郷がそこにある、、、。(2017年秋詠)
うどん屋の暖簾よれよれ黍嵐
うどん屋はこれぐらいの方が庶民的でいいのかも知れない。暖簾は洗いざらしのヨレヨレ、味は一品、老舗のうどん屋、、、。(2017年秋詠)
漣の立てば流れて萩の屑
倉敷美観地区の萩、、、。(2017年秋詠)
亀の眼のいつも眠さう秋日和
アイビースクエアの一角にある池、亀がたくさん日を浴びている。押し合いへし合いしながら石の上に登ろうとしている。それを見ているだけで面白い。空気に触れて目が乾くからかなあ、目がいつも半眼になっているように見える、、、。(2017年秋詠)
稲滓火の一村覆ふ煙かな
稲刈が始まりました。稲藁も今は使われる事が少なく、コンバインで刈ったその場で裁断されてしまいます。夕方になればそれが焼かれます。もうもうと広い田から青煙が上がり、風にかき回されて一帯が煙の中に隠れてしまいます。迷惑と思うか、新藁を焼く匂を懐かしく思うか、紙一重かも知れません、、、。(2017年秋詠)
郵便の一声かけて鵙日和
去年は八月からモズの声が聞こえていたのに、今年はどうしたのだろう?と心配していたのですが、やっと聞こえてきました。鋭く鳴くのはもう少し先かな、、、?(2017年秋詠)