木枯やビルの狭間の定食屋

通りには並木があり、大きなビルが連なっている。そんな中の隙間のようなところに残った小さな定食屋、昔ながらの色あせた白い暖簾が木枯になびいていた。入口の左に、これも色あせたメニューのサンプルケース。どちらも褪せてはいるがきれいに手入が行き届いてをり、ちょっと入ってみたくなった。が、昼食には少し早い時刻、句だけ書きとめ再び木枯の中へ、、、。(2013年冬詠)

木枯や旗竿打てる旗の紐

会社員時代、風の強い日には隣の工場の旗竿の音がよく響いていた。金属製のポールはカンカンと乾いた大きな音がする。そこにはポールが三本あり、社旗、国旗、安全旗が毎日揚がっていた。雨の日はどうだった?と、ふと考えたが記憶にない、、、。掲句は通りがかりに聴いた別の旗竿の音、旗は揚がっていなかったがよく響いていた、、、。(2013年冬詠)

木枯や無住寺閉ざす五寸釘

「人数が足りないみたいで安く蟹を食べに行ける」と言うので、急遽広島県の山奥の温泉へバスツアーに行ったことがあります。急に行ったことを理由にしますが、その温泉の名前が思い出せない、、、。川沿いのひなびた温泉で、川に向かって見晴らしの良い露天風呂がありました。少し歩いたところに橋があり、橋を渡ったところからお地蔵さんがならぶ坂道が続き、上りきったところにお寺がありました。普段は誰も居ないお寺なのでしょう、建物の扉はいかにも「入るべからず」と言うように、大きな釘が打たれていました。(2001年冬詠)