浅春の移動図書館楽鳴らし

近くの道の駅、移動図書館の開設場所となっているのでしょう、時々見かけます。掲句の時はちょうど到着したばかり、屋根の上のスピーカーから大きな音で子供向けの音楽を流していました。自分で図書館まで行けない人にとっては貴重な機会なのでしょう、雨の中で本をさがしている人を見かけたこともあります、、、。(2016年春詠)

浅春の空気吸ひ込む鯉の口

プールで会う方に引退された元建材店の社長さんが居られます。一見ごく普通の腰の低い穏やかな方ですが、実は元空手教会のえらいさんだった方でもあります。いつも水中ウォーキングをされています。この方に限りませんが、隣のコースをクロールで泳いでいると、横を向いた時にちょうど歩いている方の水中の姿勢が眼に入ります。この元社長さん、他の方と一緒の時は話をしながらゆっくり歩かれていますが、一人の時は必ず空手の正拳突きをしながら歩かれているのです。それも姿勢よく、力強く、、、。(2015年春詠)

浅春や切口白き庭の木々

二十年以上になる庭の蝋梅の木は、その昔近所で種を貰って育てたもの。毎年剪定はするのだが、木が古くなったせいかこの所花数も少なく、匂いも弱い。それで今年はよそのお宅の蝋梅をじっくりと観察してみた。その結果、どうも我家の蝋梅は太くなりすぎているようだと気づいた。きれいに咲いている蝋梅は、どこも比較的低い位置から枝を伸ばし、樹高と比べると幹が細いようだった。ということで、今年は根元から二本出ている太い幹の一本を低い位置で切ってみた。結論が出るのは数年後か、、、。(2014年春詠)

浅春の日差す所にプランター

プールだからロッカールームで全員が着替えます。見ていると立って着替える人と、ベンチに座って着替える人がいます。どうもそこが老人の一つの境目のような気がします。もちろん、女性のロッカールームは覗けませんので、男性の場合の話です。あの、俳句を草田男に採られたことがあるという方は、「若い頃に私の祖父さんが座って着替えるのを見て、なんで座って着替えるんじゃろうか、だらしねえなあと思ようたら、いつの間にか自分がそうなっとった」と。別の東北訛りの男性は「ぁあ、もう!どうにもこうにも身体が動かん!時間がかかってしょうがねえなあ。人間八十を越えたらいけませんわァ」と、この方はまだ自分がその年齢になったことに納得がいかないようです、、、。(2014年春詠)

浅春の並びて発車待つ電車

掲句は岡山駅の西口から線路沿いに歩いていて目にした風景ですが、大きな駅はどこでもこうなのかも知れない。津山駅は線路と並行している山沿いの道を車で走っていると、やはりこのような電車だまりが見える。駅は賑やかな表の風景もいいけれど、このような裏側の風景にも惹かれる。春の駅には別れと出会いが待っている、、、。(2013年春詠)