朝日差す刈田に株の影長く

素人考えになりますが、稲刈がコンバインになって切株の高さが増したように感じます。それに高さがまちまちです。一つには機械の特性と、もう一つは藁を必要とすることが無くなったからだろうと思います。全てが手作業で、藁を必要とした時代には、出来るだけ長く揃った状態で刈る必要があったのでしょう。その後の田を起していくにしても、株の高さが作業効率に大きく影響しただろうと考えられます。今は、ほとんど稲刈と同時に藁は裁断され、そして火をつけて焼かれるか、トラクターで株ごと一挙に返されるかです、、、。上り始めたばかりの朝日がその高い株の影を長く映しています。田の表面を霧が這うように流れて行きます。県北の朝はすっかり冷え込むようになりました、、、。(2014年秋詠)

刈田行く足の短き日本猫

昔は猫だって足が短かった。それは仕方ないだろう、昔の猫はご飯に味噌汁、運がよければ煮干ぐらいの餌で生活していたのだから。今は野良猫だってキャットフードや缶詰と言った良い物を貰って食べている。魚は食べないとか、煮干の頭だけ残す野良猫なんてのも居るようだ。おまけに外来種との混血が進んだからだろう、足も長くなった。シャムネコ風、アメリカンショートヘア風なんて野良猫が闊歩している。刈田の株の間を短い足を精一杯上げて、一歩ずつ越えてくる三毛猫なんて、滅多に見られるものではない、、、。(2014年秋詠)

まつすぐに刈田横切り猫帰る

そろそろ稲刈が始まりました。見通しが良くなった田圃を縦断して、真っ直ぐに帰ってくる朝帰りの猫を見たときの句です。猫は本来夜行性の動物ですから、人間ならさしずめ夕方の帰宅と言ったところでしょう。一歩一歩新しい稲の切株を越えて来るゆったりした足取りには、満足の中にも多少の疲れが見えるのでした、、、。(2002年秋詠)