上ばかり見て春塵に見舞はれし

佳い句が出来ないのは下ばかり見ているからかも知れないと、上を見ながら歩いていたらたちまち目の中にごみが入ってしまいました。苦し紛れにこんな句を詠んでみましたが、何事もほどほどにしないといけませんね。これも西川緑道公園での句です。埃っぽい季節になりました、、、。(2015年春詠)

競走馬運ぶ車や風光る

競走馬を運ぶ自動車は馬運車(通称馬バス)と言うそうです。掲句の馬バスは国道53号線で見かけた馬バスです。ちょうど小さなコミュニティバスほどの大きさ、高い位置に小さな窓が付いています。色は薄いブルー系のいたって地味な色でした。馬匹の文字でそれと分かるだけで中は見えませんが、もしかしたら優秀なサラブレッドが運ばれているのかも知れないと、たてがみを靡かせて風の中を走る姿を想ったりしたのです、、、。(2015年春詠)

木霊して春の汽笛となりにけり

特に春に限った事ではなく、汽笛の木霊そのものが好きなのですが、春の朝に聞く音は明るく柔らかく、そして若々しく聞こえるのです、、、。プールの会員カードを更新しました。4度目の更新です。退職してまず始めたのが水泳ですから、退職してもう4年が経過したことになります。早いものです。また一年、泳ぎます、、、。(2015年春詠)

遠近のいよいよ確か春雪峰

毎日遠くに中国山地の山並を見ながら散歩します。真冬の大きく見える雪山も好きですが、春先の天気の良い朝に遠くの山だけが白くなっている風景も大好きです。それは春が進むに連れて次第に遠くの山だけが雪に染まり、それによって山並の遠近を立体的に捉えられるからです。夏の間は頭の中では遠い山とは分かっていても、見た目は一枚の絵のようなものですからね、、、。(2015年春詠)

如月や風に晒され貝の殻

旧暦では正月になったばかりで、如月には少し早いのですがこんな句を、、、。この貝の殻、実はカタツムリの殻なんです。そろそろ暖かくなるからと、しばらくほったらかしにして置いた庭の植え込みの下を掃除していると出てきます。中は空っぽ、色は晒されたきれいな白色をしています。貝は死して殻を残す、、、。(2015年春詠)

恋猫も恋の乙女も澄ましけり

西川緑道公園の一角に野良猫(と思われる)の多い所があります。先頭を澄まして行くのが雌猫でしょう。その後をつかず離れず追いかけて行くのが二匹の雄、気を引こうとしているのに、雌のほうは知らん顔で橋を渡って行きました。そのまま目を移した横の通りを若いカップルが、、、。(2015年春詠)

淡雪の旅の果なる地表かな

落ちては消え、落ちては消え、落ちては消え、落ちては消え、といつまでたっても積もらない春の雪を見ていた時の句です、、、。ちょうど昨日の雪、と言ってもこの岡山県北での話になります。昨日は雪から雨に、止んだ頃を見計らって散歩に出ましたが、軟らかい土の上は少しだけ白くなっていました。そのうち突然差してきた日差は春のもの、さらに自宅近辺まで戻って来ると再び雨が、と、忙しない天候ではありました、、、。(2015年春詠)

名前のみ残る城跡迎春花

黄梅(オウバイ)です。黄梅と書きますが実はジャスミン科だそうです。つる性です。中国名が迎春花、いい名前ですね、、、。この近くにも城跡があって、私の現住所の古い地名は「字小門」と言います。たぶんお城へ通じる道筋で小さな門があったところなのでしょう。城跡は小高い丘の畑の側に近年建てられた「構ノ城跡」と書かれた石柱があるだけです、、、。(2015年春詠)