今年はいつまでも寒い日が続く。庭に置いている浮球に一匹の蝶がとまっている。今日で三日目になる。春になって初めて見た蝶が初蝶なら、これが初蝶。初蝶の持つイメージの華やかさからはほど遠く、同じ場所で同じ形でじっと耐えている。(2012年春詠)
投稿者: 牛二
春雪や単線電車灯し来る
真冬に降る雪よりも春の雪のほうが記憶に残るのはそのはかなさからだろうか。掲句は姫新線の院庄駅と美作千代駅との間、降りしきる雪の中を、前照灯を灯した電車が大きくカーブしながら近づいて来るのが見えた。まるで映画のワンシーンを見るようだった。※姫新線は電化されていないので、本当はディーゼル車です。(2000年春詠)
春の堰マイナスイオン溢らしむ
ごみ出しに眩しき春の日の角度
ごみ出しの仕事は定年後に仰せつかった訳ではない。ずいぶん日の出が早くなったとも思うが、毎日が日曜日の生活で、起きるのが遅くなったのも事実である。ごみ置き場までは車で数分の距離、東にむかう運転席の、ちょうど真正面から受ける朝日は眩しい。(2012年春詠)