図書館の窓広々と遠雪嶺

先週の寒波でとうとう山が白く見えるようになりました。掲句は昨年の冬、津山市図書館からの景。ビルの4階にある図書館の北側の広い窓からは遠くの山並が見えます。普段はどうってことないのですが、雪が降るとなんだか急に山が近づいて見えるのは不思議です、、、。(2013年冬詠)

木枯やビルの狭間の定食屋

通りには並木があり、大きなビルが連なっている。そんな中の隙間のようなところに残った小さな定食屋、昔ながらの色あせた白い暖簾が木枯になびいていた。入口の左に、これも色あせたメニューのサンプルケース。どちらも褪せてはいるがきれいに手入が行き届いてをり、ちょっと入ってみたくなった。が、昼食には少し早い時刻、句だけ書きとめ再び木枯の中へ、、、。(2013年冬詠)

冬日向犬と良く似た老人と

自分のことではありません。句会への途中、岡山西川緑道公園での句。緑道公園では時々こういうほのぼのとした方に出会う。それは時には犬と老人であったり、またある時は老夫婦であったりするのです、、、。(2013年冬詠)

枯葎ずどんと抜けて獣道

11月の句会へ行く途中に宇甘渓に寄り、後は例によってナビ任せで走っていたらとんでもない山の中に入ってしまった。不安になりながら走っていると、道端に軽トラが止まっている。ふと見た荷台に見覚えのあるものが転がされている。止まって少しバックして確かめると確かに猪だった。たぶん獲りたてなんだろう、荷台の縁を枕のようにして眠っているように巨大な猪が転がされていた。辺りを見回しても人の姿は全くなく、目に付いたのは軽トラについていたシルバーマークだけだった、、、。(2013年冬詠)

床暖房あるてふ車夫の声若し

やはり天気が悪くて寒い日だったのだろう、昨日と同じ日にこんな句があった。美観地区の人力車、はなから乗りそうにないのは分かるだろうに、いつも声をかけてくれる。しかしこれが、一人だけ声をかけられないと、それはそれで寂しいかも、、、。(2013年冬詠)

冬深む壁に熊手と箒かけ

小さな納屋のような建物の軒下に整然と割木が積まれ、壁に箒と熊手が掛けられていた。薪ストーブにでも使うのだろうか、このあたりでは珍しい光景だった。積まれた割木と箒と熊手、オブジェとしても最高だった、、、。先日書いた山小屋暮らしの仙人(と呼ぶことにした)は、最初は薪で暖をとるつもりだったが、小屋が小さくて危ないのでやむなく灯油ストーブにしているそうだ。灯油代も馬鹿にならず、国民年金だけでの暮らしには痛いと、、、。(2013年冬詠)